変形性膝関節症

Knee Osteoarthritis

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症(Osteoarthritis of the knee)は、膝関節の軟骨が徐々に摩耗し、骨同士が擦れ合って変形することで痛みや腫れ、関節の動きの制限などの症状が生じる病気です。これは、関節の機能が低下し、歩行や立ち上がりなどの日常生活動作に影響を与えることがあります。

変形性膝関節症の原因は?

年齢:加齢により、軟骨の修復能力が低下し、関節への負担が増加します。

遺伝的要因:家族歴や遺伝的な要因が、関節の構造や軟骨の品質に影響を与えることがあります。

肥満:体重の増加により、関節への負担が増加し、軟骨の摩耗が進行します。

過去の怪我:関節の損傷や手術の経験がある場合、その部位に負担がかかり、二次性の変形性膝関節症のリスクが高まります。

職業的要因:立ち仕事や重い物を運ぶ仕事など、関節に繰り返し負担がかかる職業は、変形性膝関節症のリスクが高まることがあります。

症例

変形性膝関節症の検査には、以下のようなものがあります。

1.身体検査:痛みや腫れ、変形、可動域制限などを確認します。
2.レントゲン検査:膝のX線写真を撮影し、骨や軟骨の状態、変形の程度を評価します。

3.超音波検査:関節液の貯留や靭帯、半月板の逸脱・損傷、骨の棘などを調べることができます。
4.磁気共鳴画像(MRI):軟骨や骨、靭帯、関節包などの詳細な情報を得ることができます。
5.膝関節穿刺液検査:膝に注射針を刺して、膝関節内の液体を採取し、炎症や出血の有無や関節液の性状を調べることができます。
6.歩行分析:歩行時における膝の動きや負荷のバランスを評価することができます。.血液検査:炎症反応やリウマチ・膠原病の有無を調べることができます。
8.骨密度測定:骨密度の低下がある場合は、関節リウマチや骨粗鬆症の合併を疑います。

変形性膝関節症が進行した場合のリスク

発症すると、歩行や立ち上がりの際に痛みを伴う事から、立って歩くことを敬遠するようになる患者さんが多いです。

その結果、筋力低下が進むことで、フレイルやサルコペニアといった状態に陥り、歩行障害が加速して、最終的に歩行を喪失する場合があります。

また、重症になると人工関節置換術という手術を行い、損傷した関節を人工の関節に置き換える大手術が必要となる場合があります。
人工関節の手術を行うと1か月程度の入院とリハビリテーションが必要になるため、人工関節にならないように関節症を早期に発見し、治療することが重要です。

保存療法(手術しない治療法)

疼痛管理鎮痛薬や:消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用で痛みをコントロールします。ただし、長期的な使用には副作用があるため、医師の指示に従って使用してください。

リハビリテーション:理学療法士などによる適切なエクササイズプログラムや、温熱療法、寒冷療法、テーピング、マッサージなどが症状の緩和に役立つことがあります。

リハビリテーションについて

装具療法:膝サポーターや膝用の装具、医療用インソール(オーソティックス)などを使用することで、関節への負担を軽減し、痛みの緩和を図ることができます。膝の状態に合わせた関節ポジションに骨格を矯正し、また体重を支える硬度のある固い装具が必要になります。

装具療法について

注射療法:ステロイド注射やヒアルロン酸注射などが、関節の炎症や痛みの緩和に役立つことがあります。ただし、効果は一時的であり、繰り返し行うと関節への悪影響があるため、医師の判断に従って行ってください。

再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による関節炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応)

再生医療について

手術療法

症状が重度で、非外科的治療が効果がない場合、手術が検討されます。手術の種類には、関節鏡手術、高位脛骨骨切り術(HTO)、人工関節置換術(UKA,TKA)などがあります。当院では膝の手術は行っておらず、膝の手術を行う場合には提携医療機関を紹介させていただきます。手術後のケアやフォローについては当院で最後まで責任をもって対応させていただいています。

リハビリテーションによる改善効果

変形性膝関節症と太ももの前の筋肉である大腿四頭筋は密接に関係しており、リハビリテーションでは大腿四頭筋の筋力強化と、柔軟性を向上させます。また、膝関節へのストレスには、膝関節の状態だけでなく、足や股関節の状態も影響します。例えば、扁平足と変形性股関節症には関連があるため、足の状態を改善するリハビリテーションが重要となります。同様に、股関節の筋力や状態も膝関節と関連するため、足や股関節のリハビリテーションも有効です。さらに、歩き方も膝関節の負担に影響するため、歩き方を改善することもとても重要となります。これらのリハビリテーションにより疼痛緩和、進行予防を期待出来ます。

日常でできる予防対策

体重管理

肥満の場合、適切な体重を維持することで関節への負担を軽減できます。

適度な運動

関節の可動域や筋力を維持・向上させることが、痛みの軽減に役立ちます。水中運動やストレッチ、低インパクトな運動(ウォーキング、自転車、水泳など)が効果的です。当院では自費でのリハビリテーションを提供しています。

筋力トレーニング:大腿四頭筋の筋力トレーニング

太ももの前の筋肉である大腿四頭筋を強化します。

  1. あおむけに寝て、両方の膝を立てます。
  2. 片方の膝を伸ばして、つま先を天井に向けます。
  3. 膝を伸ばし、つま先を天井に向けたまま、足を床から持ち上げます。

ストレッチ:膝の筋肉を伸ばすストレッチ

太ももの前の筋肉である大腿四頭筋をストレッチします。

  1. あおむけに寝ます。
  2. 片方の膝を曲げて、胸のほうにゆっくりとふとももを引き寄せます。
  3. 左右5回ずつを目安に行います。その時、痛みのない範囲で行うことに注意してください。
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