下肢静脈瘤

Varicose veins

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは?

下肢静脈瘤(Varicose veins)は、主に足のふくらはぎや太ももにある表在静脈が拡張し、うねって瘤状になる病状です。これは、静脈内の血流が正常に戻らなくなり、静脈の壁が広がって変形することが原因です。

静脈は、体内の酸素を消費した血液を心臓に戻す役割を果たしています。静脈内の血液は、筋肉の収縮と静脈内の弁によって、重力に逆らって上昇していきます。しかし、静脈の弁が機能不全になると、血液が逆流し、静脈内の圧力が上昇します。これが繰り返されることで、静脈が拡張し、下肢静脈瘤が形成されます。

下肢静脈瘤の症状は、青く太い線状の突起が皮膚に現れることや、足の重だるさ、腫れ、疼痛、かゆみなどがあります。

下肢静脈瘤の原因は?


下肢静脈瘤の原因は以下の通りです。

遺伝的要素:家族に下肢静脈瘤の既往がある場合、発症リスクが高まります。

加齢:年齢とともに静脈の弁や筋肉の働きが衰えるため、静脈瘤のリスクが高まります。

性別:女性はホルモンの影響で、静脈壁が緩むことがあり、静脈瘤のリスクが高まります。

妊娠:妊娠中の女性は、子宮の圧迫やホルモンの影響で静脈瘤のリスクが高まります。

肥満:体重が増えると、下肢への負担が増えてが、静脈瘤のリスクが高まります。

長時間立っている仕事:立ち仕事などで長時間立っていると、静脈にかかる圧力が増し、静脈瘤のリスクが高まります。

症例

下肢静脈瘤の検査には以下のようなものがあります。

身体検査:医師が足の状態を観察し、触診して、瘤(こぶ)の有無や程度を評価します。

超音波検査:血管内部の状態を超音波で観察し、血流の状態や血管の異常を確認する検査です。静脈瘤の位置や程度、進行度、狭窄、血栓、逆流などを評価できます。

レントゲン検査:レントゲン撮影によって、骨の変形や異常などを評価します。

CTスキャン:造影剤と断層画像を用いた精密な観察が可能な検査です。静脈瘤の位置や程度、合併症の有無などを評価します。

MRI検査:磁気共鳴画像法を用いた精密な観察が可能な検査です。静脈瘤の位置や炎症、程度、合併症の有無などを評価します。

下肢静脈瘤が進行した場合のリスク

下肢静脈瘤が進行した場合、以下のリスクや合併症が生じる可能性があります。

皮膚の変化:静脈瘤が進行し、血流が悪化すると、足の皮膚に変化が現れることがあります。皮膚は薄く、色素沈着や湿疹が生じることがあります。

静脈潰瘍:慢性的な血流の悪化が皮膚の栄養不足を引き起こし、潰瘍(皮膚の損傷)が発生することがあります。静脈潰瘍は治癒が遅く、感染のリスクが高まります。

血栓症:静脈瘤が進行すると、血液の流れが遅くなり、血栓(血の塊)ができるリスクが高まります。下肢の表在静脈血栓症は、疼痛や腫れを引き起こし、治療が必要です。

深部静脈血栓症(DVT):さらに重篤な状況として、深部静脈で血栓ができることがあります。DVTは、肺塞栓症(血栓が肺に移動し、肺の血管を詰まらせる状態)のリスクがあり、これは重篤で、時には命に関わる状況になることがあります。

出血:静脈瘤が皮膚に近い位置にある場合、小さな傷や衝撃で破れ、出血が起こることがあります。この場合、適切な処置が必要です。

下肢静脈瘤の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

圧迫療法:圧迫(弾性)ストッキングや包帯を使用して、足に適度な圧力をかけることで、血流を改善し、症状を緩和します。医師の指示に従って適切な圧迫具を選ぶことが重要です。圧迫(弾性)ストッキングをはく事を推奨します。

運動療法・装具療法:医師、リハビリスタッフによる歩行管理を行い治療的な観点から歩行を行います。適度な運動は、筋肉ポンプの働きを促し、血流を改善します。歩行にあたって医療用インソールを履くことで足裏からも圧迫を加え、血流が増加する効果があります。

手術療法

静脈結紮および切除術:患部の静脈を結紮し、切除する手術です。主に大きな静脈瘤の場合に適用されます。

静脈内レーザー治療:レーザー光を利用して静脈内の血管壁を加熱し、閉塞させる方法です。これにより、静脈瘤が縮小します。切開が小さく、回復が早いとされています。

放射線周波数焼灼術:放射線周波数エネルギーを使用して静脈内の血管壁を加熱し、閉塞させる方法です。これも切開が小さく、回復が早い治療法です。

スクレロセラピー:静脈瘤の内部に硬化剤を注入し、血管壁を刺激して閉塞させる方法です。主に小さな表在の静脈瘤やクモの巣状静脈瘤に対して用いられます。

リハビリテーションによる改善効果

下肢静脈瘤に対するリハビリテーションの効果は、筋肉ポンプの働きを促進し、血流を改善することです。

ふくらはぎの筋肉のストレッチ

ふくらはぎの筋肉をストレッチすることでふくらはぎ筋肉の動きを改善し、筋肉ポンプが働き易くなります。

歩くなどの運動の提案

歩くという運動は、筋肉ポンプを働きやすくて、血流を改善させます。しかし、過度な歩行や不適切な歩き方を続けると、二次的に他の部位の痛みが生じたりするため、適切な歩行の方法や、量を実施することが必要です。

日常でできる予防対策

足を上げる

定期的に足を上げることで、血流を促進し、腫れや疼痛を軽減することができます。

運動

歩く、水泳、自転車などの適度な運動は、筋肉ポンプの働きを促し、血流を改善します。そのため歩行管理を行い治療的な観点から歩行を行う事を推奨します。
歩行にあたって医療用インソールを履くことで足裏からも圧迫を加え、竹踏み効果となり血流が増加する効果があります。

体重管理

肥満は静脈瘤のリスクを高めるため、適切な体重を維持することが重要です。

予約する