巻き爪・陥入爪

ingrown nail

巻き爪・陥入爪

巻き爪・陥入爪とは?

巻き爪(まきづめ)・陥入爪(かんにゅうそう)は、一般的に同じ状態を指しています。どちらも、足の爪(主に親指の爪)が周囲の肉に刺さり込んで成長する状態を指します。

ただし、日本では「巻き爪・陥入爪」という表現が一般的であり、英語圏では「ingrown toenail」や「陥入爪」という表現がよく使われます。

厳密には爪が巻いている状態を巻き爪・陥入爪といい、爪が周囲の肉に刺さり込んで成長する状態をが陥入爪となります。

巻き爪・陥入爪は、痛み、赤み、腫れ、感染などの症状を引き起こすことがあります。陥入爪とは、足の爪(主に親指の爪)が、周囲の肉に刺さり込んで成長する状態を指します。巻き爪は爪が巻いている状態を指します。巻き爪・陥入爪は痛み、赤み、腫れ、感染などの症状を引き起こすことがあります。

巻き爪・陥入爪の原因は?

巻き爪・陥入爪の原因はさまざまですが、一般的に以下のような要因が関与しています。

爪の切り方

爪を角に切ると、角が皮膚に刺さりやすくなります。また、深爪など短すぎる長さに切ることも巻き爪・陥入爪の原因になることがあります。

遺伝的要因

家族に巻き爪・陥入爪の人がいる場合、遺伝的要因で巻き爪・陥入爪になりやすくなることがあります。

靴のサイズや形状

小さすぎる靴や、つま先部分が狭い靴を履くことで、足指に圧力がかかり、巻き爪・陥入爪が引き起こされることがあります。

足の形状

親指の形状が特定の形である場合、巻き爪・陥入爪が発生しやすくなることがあります。

歩行障害

関節や骨格の異常により歩き方が障害されると巻き爪・陥入爪が発生しやすくなることがあります。

外傷

スポーツや事故などで、足の親指に外傷を負うと、巻き爪・陥入爪が発生することがあります。

症例

巻き爪・陥入爪の診断には、主に以下のような方法があります。

身体的評価:医師が爪や足の指を観察し、巻き爪の程度や症状を評価します。また、触診によって痛みや圧痛を確認することもあります。

レントゲン検査:巻き爪によって変形した足の骨や爪の骨に異常がある場合には、レントゲン検査が行われることがあります。

血液検査:炎症反応が起こっている場合には、炎症反応の指標となるCRP(C反応性タンパク)や尿酸値が高い場合には痛風の可能性があるため、血液検査が行われることがあります。

爪の組織検査:巻き爪が慢性的になっている場合や、治療法が確立されていない場合には、爪の組織検査が行われることがあります。

巻き爪・陥入爪が進行した場合のリスク

巻き爪・陥入爪が進行すると、以下のようなリスクや合併症が生じる可能性があります。

感染

巻き爪・陥入爪が皮膚に刺さり続けると、刺さった部分の周辺組織が感染し、腫れ、痛み、膿の生成などの症状が起こります。感染が進行すると、足の他の部位にも広がる可能性があります。

疼痛

巻き爪・陥入爪が進行すると、歩行や靴の履き心地に影響を与え、日常生活に支障をきたすことがあります。

慢性的な炎症

巻き爪・陥入爪が長期間放置されると、慢性的な炎症が発生し、周囲の組織が硬くなることがあります。

傷跡や肉芽組織の増殖

巻き爪・陥入爪が治癒された後も、傷跡や肉芽組織の増殖が残ることがあります。

高齢者や糖尿病患者におけるリスク

高齢者や糖尿病患者は、感染や傷の治癒が遅れるため、巻き爪・陥入爪が進行した場合のリスクがより高くなります。特に糖尿病患者では、足の感覚が低下しているため、痛みを感じにくく、巻き爪・陥入爪が進行しても気づかないことがあります。これが感染や足の壊疽(壊死)につながる場合があります。

巻き爪・陥入爪の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

部分的な爪の除去:刺さっている部分の爪を除去する手術です。局所麻酔が行われ、切除された部分は数週間で再生します。

爪のワイヤー矯正:爪にワイヤーを取付けて矯正することで巻き爪を治療します。再発しやすい治療になります。

抗生物質や炎症を抑える薬:感染が起こっている場合や炎症がひどい場合は、医師が抗生物質や炎症を抑える薬を処方することがあります。

装具療法:外反母趾や強剛母趾、扁平足、凹足などで足や親指が回内することによって巻き爪・陥入爪になっている場合にインソール(装具)で回内をとめることによって痛みを緩和させ、爪の形を改善させる治療です。

手術療法

爪甲根摘出術:爪の成長をコントロールする爪甲根部分を除去する手術です。これにより、陥入爪が再発するリスクが低減されます。
爪甲根部分を除去するために、フェノール法とNaOH法があります。
フェノール法とNaOH法は、どちらも巻き爪・陥入爪の手術治療に用いられる化学的な方法ですが、使用される薬剤が異なります。

フェノール法:フェノール法は、フェノールという化学薬品を使用して爪甲根(爪の成長をコントロールする部分)を破壊し、爪が再生しないようにする手術法です。手術では、局所麻酔後に陥入している爪の一部を切除し、フェノールを爪甲根に塗布します。これにより、爪甲根が破壊され、治癒後に巻き爪が再発するリスクが低減されます。フェノール法は、比較的簡単で低侵襲な手術であるため、広く用いられていますが、傷の治癒が遅くなることがあるとされています。

NaOH法:NaOH法は、水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して爪甲根を破壊する手術法です。フェノール法と同様に、局所麻酔後に陥入している爪の一部を切除し、水酸化ナトリウムを爪甲根に塗布します。NaOH法は、フェノール法と比較して傷の治癒が速いとされる一方で、手術がやや繊細であるため、技術を要することが指摘されています。

当院では、より低侵襲で治りの早いNaOH法でのみ陥入爪の治療を行います。巻き爪は再発をさせない事がとても重要になります。手術は日帰りで局所麻酔を利用するので痛みもないため、爪切りを繰り返すことなく治療完了を目指して手術を行う事を推奨しています。プレートやワイヤーにて一時的に症状緩和が期待できますが、それらを外すと再発することが多く、またプレートやワイヤーでの治療は保険適用外であり自費の治療にあるため、高額な治療を継続することになります。

リハビリテーションによる改善効果

巻き爪の発生原因のひとつに外反母趾や強剛母趾、扁平足、凹足などで足や親指が回内することがあげられます。歩行時に内側に傾いた親指で踏み切ることで地面からの力が爪に加わり巻き爪を引き起こす可能性が指摘されています。リハビリテーションでは、外反母趾や強剛母指による親指の動きの悪さを改善することが、爪への負荷を軽減できる可能性があります。

日常でできる予防対策

適切な爪切り

初期の陥入爪で症状が軽度の場合、自己ケアが効果的です。爪の手入れを適切に行い、爪を直角に切り、短すぎない長さに保ちます。また、足を清潔に保ち、適切なサイズと形状の靴を履くことで、症状の改善が期待できます。

陥入爪の進行を防ぐため、刺さっている部分の爪を浮かせる方法があります。綿やガーゼを小さく丸め、爪と肉の間に挟むことで、爪が肉に刺さらないように保護する方がいますが、感染が起こっている場合は感染が広がる場合もあるので、巻き爪の状態になったら受診するようにすることをお勧めします。

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