関節リウマチ(かんせつりうまち)

articular rheumatism

関節リウマチ(かんせつりうまち)

関節リウマチとは?

関節リウマチは、身体の関節を中心に炎症が起こり、腫れや痛み、そして関節が変形する自己免疫疾患の一つです。この疾患は、免疫細胞が誤って体内の正常な組織を攻撃し、関節を破壊することによって引き起こされます。関節リウマチは、軽度な痛みや炎症から始まり、時間とともに進行して、痛みが慢性化し、関節の変形や機能障害を引き起こすことがあります。この病気は、女性の方が男性よりも発症しやすいとされています。

関節リウマチの原因は?

関節リウマチの原因は明確には分かっていません。
しかし、自己免疫疾患の一種であると考えられています。自己免疫疾患とは、本来は体内の異物を攻撃するはずの免疫細胞が、体内の正常な細胞や組織を攻撃する状態を指します。具体的には、関節リウマチでは、体内の免疫細胞が関節軟骨、骨、滑膜などの組織を攻撃し、炎症や関節の破壊を引き起こします。遺伝的な要因や環境要因(例:喫煙、ストレスなど)も関与すると考えられています。

症例

右足
左足

関節リウマチの検査方法には、以下のようなものがあります。

血液検査:関節リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体、C反応性蛋白(CRP)、赤血球沈降速度(ESR)などの検査があります。

関節液検査:関節内の液体を採取し、細胞やタンパク質、炎症反応に関する物質の検査があります。

X線検査:関節の変形や破壊、骨の腫れや骨膜炎などを調べるための検査です。

超音波検査:関節内の腫れや炎症、滑液包の厚さ、関節軟骨の厚さや損傷などを調べるための検査です。

MRI検査:関節や周辺の組織の炎症や腫れ、骨や軟骨の破壊などを調べるための検査です。

フットプリント検査:足の裏の圧力分布を調べるための検査です。足のアーチが崩れているなどの異常を見つけることができます。

関節リウマチが進行した場合のリスク

関節リウマチが進行すると、慢性的な関節炎により関節の変形や機能障害が進行することがあります。また、炎症が続くことで、関節周囲の骨や軟骨、腱、靭帯なども損傷を受けることがあります。このような変形や機能障害が進行することで、日常生活動作の制限や歩行困難、重度の疼痛などの症状が現れる場合があります。また、関節リウマチは全身性の疾患であるため、内臓や血管、皮膚などの損傷も起こり得ます。さらに、治療に使用される免疫抑制剤やステロイド剤などの副作用もあります。これらのことから、関節リウマチが進行すると、身体機能の低下や生活の質の低下、さらには寿命の短縮につながる可能性があります。早期の診断と適切な治療が重要です。

関節リウマチの治療方法

保存療法(手術しない治療法)

抗炎症薬の使用:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイド性抗炎症薬などがあります。

疾患修飾抗リウマチ薬(DMARDs)の使用:メトトレキサート、レムミケードなどがあります。

生物学的製剤の使用:TNF-α阻害薬、IL-6阻害薬などがあります。

物理療法:理学療法士などによる適切なエクササイズプログラムや、熱療法、冷却療法、テーピング、マッサージなどが症状の緩和に役立つことがあります。

装具療法:リウマチによる足部の変形で胼胝(たこ)や魚の目ができたり、関節炎が発生するなどの場合、装具(インソールや靴、短下肢装具)などによる矯正を行う必要があります。

再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による関節炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応)、臍帯由来の間葉系幹細胞がだすHGFというサイトカインが炎症の原因となるTNF-αを阻害する事が一部研究から報告されています

手術療法

通常の治療で改善しない場合やリウマチによる変形がすすむ場合手術が検討される場合がありますが、変形の状態や関節の状態、歩行能力などから手術の方法は選択されます。

関節鏡下手術:関節内観察・手術を行う方法で、患部の小さな切開部から手術用の器具を挿入し、カメラで内部を観察しながら手術を行います。

関節形成術:関節の破壊が進んでいる場合に行われ、人工関節を用いて関節を形成する手術です。

腱膜切開術:炎症が腱鞘に及んでいる場合に行われる手術で、腱鞘を切開することで炎症を取り除きます。

腱膜切除術:腱膜の炎症を取り除く手術で、炎症部位を切除することで、関節の動きを改善します。

関節固定術:関節を固定する手術で、手術後には関節が動かなくなりますが、疼痛の緩和や機能の改善が期待されます。

手術的滑膜摘出術:滑膜に炎症が及んでいる場合に行われ、関節内の滑膜を切除します。

骨切り術:骨の変形が進んでいる場合に行われ、骨を切断して正しい位置に移動させる手術です。

リハビリテーションによる改善効果

関節リウマチの方のリハビリテーションでは、関節可動域練習、筋力強化トレーニング、病状や身体の状況に合わせた運動の実施が行われます。これにより、身体機能が急激に低下することを防いだり、関節が固くなることを防ぐ効果があります。関節リウマチは関節の痛みや変形など個人の状況によって適切な運動が異なるので、専門家によるリハビリテーションがおすすめです。

関節可動域練習

関節の痛みがあると身体を動かすことが億劫となり、身体を動かすことが少なくなります。この状態が続くと、関節がどんどん動かしにくくなるので、それを予防するためにストレッチを中心に関節の動きを広げたり、固くなるのを予防したりします。

筋力強化トレーニング

関節の痛みがあると身体を動かすことが億劫となり、身体を動かすことが少なくなります。安静にし続けていると筋肉はどんどん弱くなっていきます。そのため、適切な方法と負荷量で筋肉トレーニングをすることがおすすめです。関節リウマチの場合、関節を傷めないように関節を動かさないで筋肉を鍛える方法(等尺性収縮)での実施が必要です。

身体の状況に合わせた運動

身体を動かすことで、身体が急に弱ったりしないようにすることが必要です。ただし、無理な運動は、関節を痛めてしまう可能性があるので、関節に負担のかからない運動が重要です。

日常でできる予防対策

関節リウマチの原因はまだ完全に解明されていないため、予防法は確立されていません。ただし、以下のような健康的なライフスタイルを維持することで、リウマチ発症のリスクを減らすことができるとされています。

✓喫煙しないこと

✓適度な運動を続けること

✓健康的な食生活を維持すること

✓過剰なアルコール摂取を避けること

✓ストレスを避け、適切にリラックスすること

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