足蹠多汗症とは、足の裏に異常な多汗症が見られる症状です。足の裏には多くの汗腺があり、普段から多少の汗はかいているものですが、足蹠多汗症では汗腺が異常に活発に働き、常に湿った状態が続いてしまいます。足蹠多汗症の原因ははっきりとはわかっていませんが、交感神経の亢進や遺伝的要因、ストレスなどが関与していると考えられています。足蹠多汗症は、足の臭いや水虫の原因となり、足の滑りやすさや足裏の損傷、不快感などのトラブルを引き起こすことがあります。
足蹠多汗症の原因は明確にはわかっていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
神経の異常:交感神経の異常によって発汗が亢進し、多汗症が引き起こされると考えられています。
遺伝的な要因:足蹠多汗症は家族性があり、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
環境的な要因:暑い気候や緊張した状況など、環境的な要因が多汗症を引き起こすことがあります。
疾患や薬剤の副作用:糖尿病、甲状腺機能亢進症、腎臓病、抗うつ薬など、さまざまな疾患や薬剤の副作用が多汗症を引き起こすことがあります。
足蹠多汗症の診断には、以下の項目のうち、2項目以上を満たす症例で、それぞれ発汗テストを行って診断します。
1)最初に症状がでるのが25歳以下であること
2)対称性に発汗がみられること
3)睡眠中は発汗が止まっていること
4)1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
5)家族歴がみられること
6)それらによって日常生活に支障をきたすこと.
発汗テストには主に以下のような定性的測定法と定量的測定法があります。
1. ヨード紙法(汗滴プリント法):ヨードを加えた紙を発汗部位に触れさせると黒色に変色するため、その変色の広がり方によって、重症度を検討する方法です。
2. Minor法:ヨード液を発汗部に塗布して、乾燥させてからでんぷんをふりかけ、黒紫色になった範囲を測定して重症度を判定する方法です。
1.重量計測法:ろ紙を付着させたパウダーフリーのビニール手袋を5分間装着し、ろ紙の重量の差を測定する方法です。
2.換気カプセル法:皮膚をカプセルで覆い、カプセル内にガスを流し、汗を蒸発させて、流出するガスの湿度を発汗量として換算する方法です。
足蹠多汗症が進行した場合、足の臭いや湿気、かゆみなどの症状が悪化する可能性があります。また、湿った状態が続くことで足の表皮が傷つき、細菌感染や水虫、爪白癬などの皮膚疾患を引き起こすリスクも高くなります。さらに、足蹠多汗症によって足の皮膚が柔らかくなるため、足底に負担をかける歩行によって足のアーチが崩れ、膝や腰などにも痛みが生じることがあります。進行した場合は、適切な治療を行うことが重要です。
外用薬:塩化アルミニウムの外用薬を塗布します。一般薬は販売されておらず、院内調剤でしか処方できません。
イオントフォレーシス:足に電気を流すことで、汗腺の働きを一時的に抑える方法です。定期的に行うことで、症状の改善が見られる場合があります。保険適応の治療です。
ボトックス注射:足底にボツリヌス菌から抽出された物質を注射することで、汗腺の活動を一時的に抑える方法です。効果は約6ヶ月程度続きます。
手術によって交感神経を遮断する方法があります。効果は非常に高いですが、後遺症や合併症のリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
足底用の制汗剤を使用することで、足の汗を抑えることができます。しかし、効果が長続きしないため、頻繁な塗り直しが必要です。
靴や靴下は通気性のあるものを選び、一日に2回以上交換することが望ましいです。また、足の指先に余裕がある靴を履くことで、足の汗を吸収しやすくなります。
靴を通気性のある材質で作られたものにするとともに、汗を吸収しやすい靴下を履くことで、足の蒸れを防ぐことができます。
足の爪を切り、汚れを落とすことで、足の匂いを抑えることができます。また、足の裏をこすり洗いすることで、足の角質を取り除き、通気性を良くすることができます。
辛いものや油っこいもの、アルコールや炭酸飲料などは、体を熱くしてしまい、汗をかきやすくするため、適度な量での摂取に留めることが望ましいです。
ストレスは自律神経を乱し、汗をかきやすくすることがあります。適度な運動や趣味、マッサージなどでストレスを減らすことが望ましいです。