足根洞(そっこんどう、Tarsal tunnel)は、足首(くるぶし)の外側にある神経や静脈が通る部分です。足首の外側のくぼみに位置します。足根洞症候群は、足根洞(足根部を構成する靭帯、骨、筋肉などが作り出す空間)に圧迫が加わることで生じる病態です。足根洞症候群は、足の疲れや痛み、痺れなどを引き起こすことがあります。足根洞症候群は、靴がきつい、高いヒールをはいている、または立ち仕事や歩くことが多い人によく見られます。
足根洞症候群の原因は、足根洞内の靭帯や筋肉が慢性的な炎症や過剰な圧力によって傷つき、狭くなったり圧迫されたりすることにより起こります。主な原因として、足首の捻挫、長時間の立ち仕事や歩行、足首の骨折や脱臼、関節リウマチ、糖尿病、肥満などが挙げられます。
足根洞症候群の診断には、以下のような検査が行われることがあります。
身体所見・ROM検査:足や足首の腫れや痛み、動きの制限などを調べます。
レントゲン検査:足首周辺の骨や関節を詳しく調べます。
超音波検査:炎症の程度や腫脹、液貯留を調べます。
CT検査:足根骨癒合症や骨棘などの骨性の異常を検査します。
MRI検査:軟部組織の炎症などの異常を調べます。
血液検査:炎症の程度を調べます。
神経学的検査:神経障害の有無を調べます。
足根洞症候群が進行すると、足首や足の痛み、しびれ、筋力低下などの症状が進行し、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。また、放置すると足の骨や関節に異常が起こり、後に手術が必要になる場合があります。適切な治療を行わないと、足根洞症候群が進行する可能性があります。
装具療法:関節負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。
注射療法:ステロイド注射などが、関節の炎症や痛みの緩和に役立つことがあります。ただし、効果は一時的であり、症状が緩和している間に根本的な治療をしなければいけません。また、繰り返し行うと関節への悪影響があるため、医師の判断に従って行ってください。
再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による関節炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応です)
足根洞内の異常のある軟部固有組織を除去する郭清術を行います。
足首を安静にし、炎症を抑えます。
炎症を抑えるため、氷や温熱を使用することがあります。
足首や足の筋肉を強化することで、足根洞症候群を改善します。