強剛母趾

Hallux Rigidus

強剛母趾

強剛母趾(きょうこうぼし)とは?

強剛母趾とは、母趾(親指)の第一中足骨趾節関節(MP関節)において、骨の増殖が生じて硬くなり、曲げ伸ばしに制限が生じる疾患のことを指します。また、Hallux Rigidus(ハルクス・リジダス)とも呼ばれます。強剛母趾は、関節に痛みやこわばりを引き起こし、時間が経つにつれてつま先を曲げるのがますます難しくなります。強剛母趾は実際には変性関節炎の一種です。強剛母趾は外反母趾と同じように考える人が多い病気ですが、全く異なる病気です。
強剛母趾は進行性の病気で、つま先の動きは時間が経つにつれて減少します。足の親指の動きがわずかに制限されている初期段階からはじまり、問題が進行するにつれて、つま先の可動域は徐々に減少し、足の親指が硬くなったり、関節が全くうごかなくなる硬直の最終段階に達する可能性があります。
骨棘が発生するまで待つと、状態を管理するのがより困難になる可能性がありますので早めに受診することが重要です。

初期症状

・動作行中に足の親指の痛みとこわばり(歩く、立つ、曲げるなど)

・寒い気温などで悪化する痛みとこわばり

・特定の活動(ランニング、スクワット)が困難になる

・関節周辺の腫れと炎症

強剛母趾の原因は?

強剛母趾の一般的な原因は、足の親指関節の変形性関節症につながる可能性のある機能障害と足の構造異常です。このタイプの関節炎(摩耗から生じる種類)は、足と足の親指の骨格に問題がある人によく発症します。たとえば、アーチが落ちたり、足首が過度に回内したりする人が発症しやすい病気です。または、関節リウマチや痛風などの炎症性疾患によって引き起こされる可能性があります。

症例

強剛母趾の診断には、症状や足の形態を観察することが重要です。具体的には、母趾の変形や外観、動作の障害、歩行時の不快感や痛み、足のアーチの高さ、足の裏の状態などを確認します。また、レントゲン検査を行うことで、骨の変形や変色などを確認することができます。MRI検査やCT検査も行われることがあります。

強剛母趾が進行した場合のリスク

歩行時に痛みを感じることがあり、痛みがひどくなると歩行困難になることがあります。また、足の骨の変形が進行することで、外反母趾やハンマートウなどの足の他の部分にも影響を及ぼす可能性があります。障害がより深刻になるにつれて、次のような追加の症状が発生する可能性があります。

・安静時の痛み

・骨棘(過成長)が発生するため、靴を履くのが難しくなる

・歩き方の変化による腰、膝、腰の鈍い痛み

・足を引きずる(重症の場合)

強剛母趾の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

理学療法:足の筋力を強化し、関節の可動域を広げることで、症状の改善が期待できます。具体的には、足の筋肉を強化するトレーニング、ストレッチング、マッサージなどがあります。当院では自費リハビリテーションにて実施しています。

装具療法:医療用のインソールは過回内の動きを防ぎ、痛みの軽減に役立ち、強剛母趾の親指の関節制限をリリース(解除)します。骨格異常を矯正するために体重をささえるだけの固い装具が必要になり、市販のクッション用インソールでは治療効果はありません。

注射療法:ステロイド注射で、関節の炎症や痛みの緩和に役立つことがあります。ただし、効果は一時的であり、繰り返し行うと関節への悪影響があるため、医師の判断に従って行ってください。

テーピング:医療用インソールを用いた装具療法と同様の理由でテーピングによる足の姿勢(アライメント)の補正を行い症状の悪化を防ぐことができます。しかしテーピングは貼り直す必要があるため、長期的な治療を行う場合、装具療法が優れています。

手術療法

場合によっては、手術が痛みを解消または軽減する唯一の方法になります。強剛母趾の治療には、いくつかの種類の手術が利用可能です。X線所見、年齢、活動レベル、お変形の程度などに基づいて手術方法を決定しますが、一般的に日帰り手術にて局所麻酔で行います。関節を温存する方法と切除する方法と固定する方法などがあります。

リハビリテーションによる改善効果

強剛母指に対するリハビリテーションでは、固くなった親指や足首、足部関節の可動性の改善や、足のアーチを支える筋肉の強化を行い、痛みの軽減や、悪化を予防することを目指します。

親指や足首、足部関節の可動性の改善

症状の強さや、症状の強さによって変化しますが、軽度の場合は、関節モビライゼーションなどを用いて、親指の可動性を改善していきます。足首や、足部関節の可動性は、ストレッチやマッサージなどを用いて行います。これにより、歩行や立っているときに親指に掛かるストレスを軽減し、痛みを減らします。

足のアーチを支える筋肉の強化

足部の回内や、アーチの過剰な低下が親指の関節の負担の原因となるため、アーチを支える筋肉を強化することで、症状の悪化の予防や、痛みの軽減を目指します。

日常でできる予防対策

適切な靴の着用

適切なサイズの靴を選び、歩きやすい靴を履くことで、足にかかる負担を軽減することができます。

足首や足指のストレッチング

足首や足指のストレッチングによって、柔軟性を高めておくことが大切です。ただし、間違った方法での実施は逆効果になる場合もあるので、医師の指導のもとで行いましょう。

適度な運動

足を強くするために、足の筋肉を鍛える運動を行うことが大切です。ただし、過度の運動は逆効果になる場合もあるため、医師の指導のもとで行いましょう。

正しい姿勢

正しい姿勢を保つことで、足にかかる負担を軽減することができます。例えば、長時間の立ち仕事をする場合は、適宜休憩を取ることが大切です。

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