疲労骨折

stress fracture

疲労骨折

疲労骨折とは?

疲労骨折とは、同じ場所に慢性的に負荷がかかって起こる骨折です。長時間の運動や繰り返しの運動によって、骨にかかる負荷が増え、骨の微小な損傷が重なり、最終的に骨が折れることがあります。足の疲労骨折は、走行、ジャンプ、ダンス、長距離の歩行などの高い衝撃を受ける運動が原因となることが多く、特にランナー、バスケットボール選手、バレーボール選手、陸上選手などの競技者によく見られます。また、子供にも多い病気でアスファルトの上で縄跳びを毎日するなどからも疲労骨折になる場合があります。

疲労骨折の症状は、以下のようなものが挙げられます。

痛み

特定の場所に圧力がかかったり、特定の運動をすると痛む。休息しても痛みが取れない場合がある。

腫れ

疲労骨折箇所に軽度の腫れが見られることがある。

赤み

疲労骨折箇所に赤みが見られることがある。

疲労感

疲れやすかったり、疲れが取れにくかったりする。

スポーツでおきやすい疲労骨折とは?

またスポーツから起こりやすい疲労骨折としては以下のものがあります。

踵骨疲労骨折:距骨の外くるぶしの部分に発生することが多く、ランニングやジャンプなどの運動で起こりやすい疲労骨折です。

脛骨疲労骨折:脛骨の下端や中間部分に発生することが多く、バスケットボールやバレーボール、長距離走などの運動で起こりやすい疲労骨折です。

大腿骨頚部・恥骨疲労骨折:大腿骨の付け根にある頚部や恥骨に発生することが多く、ランニングやジャンプ、サッカー、ラクロスなどの運動で起こりやすい疲労骨折です。

第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折):足の中央にある第5中足骨の基部に発生することが多く、ランニングやダンス、サッカーなどの運動で起こりやすい疲労骨折です。

疲労骨折の原因は?

疲労骨折の主な原因は、反復的なストレスや過負荷による骨組織へのダメージです。例えば、同じ運動を長時間続けることや、運動量を急激に増やすこと、柔軟性や筋力不足などが原因となります。また、栄養不足やホルモンバランスの崩れ、骨密度の低下なども疲労骨折を引き起こす可能性があります。

症例

疲労骨折の検査には、以下のものがあります。

X線検査:基本的に疲労骨折はX線で分からないことが多いですが、骨骨硬化や仮骨など疲労骨折の特徴的な変化が現れることがあります。

超音波検査:被爆することなく、骨の表面や液貯留などを観察することが出来ます。

MRI検査:MRIでは骨挫傷をみることが出来るため、ぽっきり折れていない疲労骨折でも確認することが出来ます。また、骨折が発生した骨の軟部組織や周辺組織の炎症を詳細に観察することができます。

CT検査:CTは、骨の微細な変化を検出することができます。X線検査よりも高精度です。

疲労骨折が進行した場合のリスク

疲労骨折が進行すると、骨折箇所が拡大し、骨折面積や痛みが増加することがあります。また、骨折箇所周辺の腫れや熱感、慢性的な疼痛や痛みの悪化、歩行困難などが現れることがあります。放置していると、疲労骨折が完全骨折に移行したり、慢性的な疼痛が残ることがあるため、早期の治療が重要です。また、再発のリスクもあるため、リハビリや予防対策も必要です。

疲労骨折の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

保存療法:保存療法治療では、痛みを軽減するための安静、炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアイシング、痛みの緩和や治癒を促すための物理療法などが用いられます。骨が癒合するまで、通常は4週間から数か月間の安静が必要とされます。疲労骨折の原因として、長距離走やジャンプ競技が多いため、ジャンプトレーニングや硬いところでの長距離走は控えるようにします。自転車や水泳は疲労骨折を起こすことはまれであるため、受傷早期から可能です。

体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。疲労骨折の場合は自費治療になります →詳細はこちら

LIPUS治療:LIPUSは、超音波療法の一種で、低強度の超音波を照射することによって骨の修復を促す治療法です。疲労骨折や骨折後の骨の治癒を40%程度早めるために使用されることがあります。LIPUSは非侵襲的で、痛みを伴いません。

再発予防のための装具療法:原因となる骨へのストレスを軽減するために医療用装具を作成する場合があります。繰り返し骨折を繰り返す場合や、安静に出来ないような場合に作成をおこないます。

再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応)

手術療法

外科的治療は、そのほかの治療が効果的でない場合や、骨折部位の転位が大きい場合に行われます。外科的治療には、骨折部位に固定するための釘やプレートの挿入、骨片を除去する手術、骨移植などがあります。

リハビリテーションによる改善効果

疲労骨折に対するリハビリテーションでは、関節の柔軟性を高めたり、筋力を強化して、身体が本来持っている、衝撃を吸収できる身体機能をしっかりと発揮できるようにすることを目指します。また、骨折の治療中に生じた二次的な関節の固さや、弱くなった筋肉を鍛え、再発を予防することを目指します。

具体的な運動や、リハビリテーションは、披露骨折の部位や状況によって変わりますので、医師の診察にもとづいて行うことが重要です。

日常でできる予防対策

疲労骨折を予防するためには、以下のような方法があります。

適切なトレーニング

適切なトレーニング量とトレーニング方法を選び、急激な負荷増加を避けます。また、トレーニング前のウォーミングアップやストレッチングも重要です。

適切な栄養摂取

十分なカルシウムやビタミンDを摂取し、骨の健康を維持します。また、タンパク質や炭水化物などの栄養素も適切に摂取し、筋肉や骨の健康を維持します。

適切な休息

トレーニングや競技の前後に十分な休息を取り、筋肉や骨の回復を促します。また、睡眠不足やストレスも疲労骨折の原因になるため、十分な睡眠を取りストレスを避けるように心がけます。

適切な装備の使用

適切な靴やスポーツ用具を使用し、足や関節への負担を軽減します。

早期の発見と治療

疲労骨折の早期発見と適切な治療が重要です。疲労骨折の症状が現れた場合は、適切な医療機関で診察を受け、治療を行うようにしましょう。

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