種子骨障害

sesamoiditis

種子骨障害

種子骨障害とは?

種子骨障害(しゅしこつしょうがい)とは、足の親指(母趾、第一趾)の先端にある「種子骨」と呼ばれる小さな骨において、骨の成長と骨の再生に失調が生じ、痛みや歩行困難などの症状が現れる疾患です。主にスポーツやダンス、長時間のハイヒールの着用などによって、長期的な負担が加わることで発生することが多いです。また、成長期の子どもでも発症することがあります。

種子骨障害の症状には、以下のようなものがあります。

足底や踵の痛み

種子骨障害の初期症状で、足底や踵に痛みを感じます。痛みは、歩いたり、走ったり、長時間立ち続けたりした後に強くなることがあります。

踵の腫れ

足底の痛みに加えて、踵に腫れが現れることがあります。腫れがある場合は、足底の痛みよりも可動域が制限されることが多いです。

歩行困難

痛みや腫れが強い場合、歩行が困難になることがあります。

種子骨障害の原因は?

種子骨障害の原因は、過剰な運動や負荷、加齢、足の形の異常、筋力不足、運動不足、運動中の誤った動作などが考えられます。例えば、ランニングやバスケットボールのようなスポーツで急激な走り出しやジャンプ、着地などが繰り返されることで、足底の骨である種子骨に負荷がかかり、炎症を引き起こすことがあります。また、足のアーチが低いフラットフットの人や、つま先立ちの習慣がある人、過去に同様の痛みを経験したことのある人などもリスクが高いとされています。

症例

種子骨障害の検査には、以下のような方法があります。

レントゲン検査:種子骨の骨折や骨の変形を調べるために行われます。

超音波検査:超音波にて種子骨周囲やMP関節の関節液貯留や骨の棘を調べることが出来ます。

MRI検査:種子骨周囲の炎症や骨挫傷、他の軟部組織の炎症態を調べるために行われます。

CT検査:骨の詳細な立体像を調べるために行われます。

種子骨障害が進行した場合のリスク

種子骨障害が進行すると、痛みをかばって前脛骨筋の筋肉痛や足首の関節の痛みなどの合併症が発生する可能性があります。また、足の機能が低下することで、日常生活動作やスポーツ活動に支障をきたすことがあります。早期に治療を行うことが重要です。

種子骨障害の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

保存療法:保存療法では、痛みを軽減するための安静、炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアイシング、痛みの緩和や治癒を促すための物理療法などが用いられます。フェルトなどのクッション材を足に直接貼り付けたり、普段使用されている中敷きに貼り付けることがあります。

注射療法:種子骨周囲にステロイド注射をすることにより炎症を下げることが出来る速効性のある治療です。頻回のステロイド注射は副作用が出やすくなるため注意が必要です。

体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。種子骨障害の場合は自費治療になります →詳細はこちら

LIPUS治療:LIPUSは、超音波音波療法の一種で、低強度の超音波を照射することによって骨の修復を促す治療法です。疲労骨折や骨折後の骨の治癒を40%程度早めるために使用されることがあります。LIPUSは非侵襲的で、一般的に安全性が高いとされています。痛みを伴いません。

装具療法:原因となる骨へのストレスを軽減するために医療用装具を作成する場合があります。骨格異常を矯正するために体重をささえるだけの固い装具が必要になり、市販のクッション用インソールでは治療効果はありません。

手術療法

種子骨障害が進行し、他の治療法が効果的でない場合には手術治療が行われます。手術の種類には、種子骨の部分摘出、全摘出などがありますが、関節機能の低下が起こることが多く手術の適応は慎重に考えなければいけません

リハビリテーションによる改善効果

種子骨障害は、種子骨がある母趾に過剰な負荷が加わることで生じたり、痛みが強くなる場合があります。親指に過剰な負荷な負荷が加わる原因の一つに、歩き方や動作のフォームなどが考えられます。また、関節の固さや、筋力のアンバランスなどでも生じる場合があります。そのため、リハビリテーションでは、動作分析などから、親指に過剰な負荷が加わる原因を見つけ、原因となっている関節の柔軟性や筋力のアンバランスを改善し、種子骨障害による痛みを軽減したり、再発の予防を目指します。

日常でできる予防対策

種子骨障害の予防方法には、以下のようなものがあります。

適切な靴を履く

運動や長時間の立ち仕事をする場合は、適切な靴を選ぶことが重要です。足をしっかりと支え、衝撃を吸収する靴を選びましょう。

適度な運動を行う

筋力を維持することが大切です。特に、足の筋肉を鍛えることで、種子骨にかかる負担を軽減できます。痛みが強い場合や、運動によって悪化する場合は、運動を中止して、専門医に相談してください。

ストレッチング

関節の柔軟性を維持することが大切です。特に足首や、膝、股関節の柔軟性を維持することで、種子骨にかかる負担を減らすことができます。ただし、間違った方法や過剰なストレッチングは逆効果になる場合があるので、注意が必要です。

過度な負荷を避ける

過度な運動や長時間の立ち仕事は種子骨に負荷をかけますので、適度に休憩を取りましょう。

健康的な食生活を維持する

カルシウムやビタミンDなどの栄養素を摂取し、骨の健康を保つことが大切です。

姿勢を正す

正しい姿勢を保つことで、足にかかる負荷を軽減できます。

予約する