ケーラー病

Köhler

ケーラー病

ケーラー病とは?

ケーラー病(Köhler病)とは、足の骨の中でも舟状骨や中足骨骨頭の一部が壊死(壊れて骨組織が死んでしまうこと)を起こす疾患です。。舟状骨や第2趾MP関節に起こり、第2趾MP関節に起こったケーラー病は第2ケーラー病やフライバーグ病とも呼ばれます。

一般的には小児期から思春期にかけて発症し、男性に多く見られます。足底の痛みや腫れ、歩行困難などが症状として現れますケーラー病の症状には以下のようなものがあります。

足の疼痛

足の底部に疼痛を感じることがあります。痛みは、足の使用量が多い時に悪化することがあります。

足の腫れ

足の底部に腫れがあることがあります。痛みや炎症がある場合もあります。

足の動きの制限

足の動きが制限されることがあります。足の曲げ伸ばしや回旋運動に問題があることがあります。

足の形の変化

足の形が変化することがあります。足底のくぼみが浅くなり、足のアーチが平らになることがあります。

歩行困難

足底の痛みや動きの制限があるため、歩行困難になることがあります。

ケーラー病の原因は?

ケーラー病の正確な原因は不明ですが、足の骨の成長に関係する血流障害が関与していると考えられています。足底動脈が塞がれ、骨に十分な酸素や栄養素が届かなくなることが原因の1つとされています。遺伝的な要因も関与していると考えられています。

症例

ケーラー病の診断には、症状や身体検査の結果に基づいて、以下のような検査が行われることがあります。

レントゲン検査:ケーラー病の場合、骨の萎縮や溶解状の変形が認められます。

超音波検査:痛みのある部位を直接観察することで骨の変形や関節液の貯留を調べることが出来ます。

MRI検査:骨挫傷や原因を調べるためにMRI検査が行われることがあります。骨壊死や骨挫傷、軟部組織の炎症も調べることが出来ます。

CT検査:骨の断層画像を作成することができる検査で、レントゲン検査よりも詳細な情報を得ることができます。

ケーラー病が進行した場合のリスク

ケーラー病が進行すると、骨形態が変化し、足裏のアーチが低下したり、歩行時の痛みや踵の腫れが悪化したりすることもあります。ただし、ケーラー病は自然治癒することが多いため、進行することは比較的まれです。しかし、治療をしないままに放置すると、変形が生じることもあります。

ケーラー病の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

装具療法:関節や骨の負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。

薬物療法:痛みを和らげるために、痛み止めや抗炎症薬を使用することがあります。

注射療法:小児の方にはあまり行いませんが、ステロイドを関節内に注射することによって炎症を抑えます。頻回の投与は副作用が出ることもあるため注意が必要です。

体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。ケーラー病の場合は自費治療になります。骨端線が早期閉鎖することもあるため通常よりエネルギーを落として行います。 →詳細はこちら

LIPUS治療:LIPUSは、超音波音波療法の一種で、低強度の超音波を照射することによって骨の修復を促す治療法です。疲労骨折や骨折後の骨の治癒を40%程度早めるために使用されることがあります。LIPUSは非侵襲的で、一般的に安全性が高いとされています。痛みを伴いません。

再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応)

手術療法

ケーラー病に対する手術は、壊死した部分の切除や骨切り、関節形成を行うことがあります。

リハビリテーションによる改善効果

ケーラー病は、骨への血液の供給が不足してしまうことで生じる病のため、リハビリテーションによる改善は効果が得られにくい病気と言えます。

日常でできる予防対策

ケーラー病は、骨への血液の供給が不足してしまうことで生じる病気です。また、原因が日常生活の習慣や運動が影響しているものではないと考えられるため、日常でできる予防対策はありません。

お子さんの足の腫れや、足の痛がり、歩き方に違和感があるなど、気になる点があれば、専門医のいる病院を受診することをおすすめします。

予約する