Iselin病(イセリン病、イズリン病)は、第5中足骨基部の骨端症です。主に10代の若いスポーツ選手に多く見られ、運動競技において反復的な運動による負荷や過剰なストレッチが原因となり、炎症や痛みを引き起こします。
Iselin病の症状は、歩行や運動をすると痛みが強くなる場合もあります。Iselin病は成長期の若年者に発症しやすく、第5中足骨の基部に痛みが生じます。
Iselin病は、第5中足骨の基部の骨端核が繰り返し牽引されたり、強く牽引されて起こると考えられています。具体的には、急速な成長や反復的な外側足部のストレスが原因となり、成長板に微小な損傷が蓄積され、その結果として炎症が起こります。この炎症が治癒する際に、炎症部分に骨が形成されることがあります。これがIselin病の症状を引き起こす原因となります。
Iselin病の診断には、患部のX線検査やMRIなどの画像検査が行われることがあります。また、痛みや歩行障害などの症状を詳しく聞き取ることで、診断が確定する場合もあります。診断を確定するためには、病歴や症状などの情報をもとに、専門の医師による診察が必要です。
X線検査: 骨や骨端線の異常を確認するために使用されます。
超音波検査:痛む部分の骨や骨端線の形や液貯留、炎症の程度、骨棘などを調べます。
CT検査:CTにてより詳細に骨や骨端線の状態を把握することが出来ます。
MRI検査: MRIでは、骨・軟骨・骨端線や軟部組織の炎症を詳細に調べることができます。
Iselin病は一般的に自然に治癒する傾向があるため、進行することはまれです。ただし、重度の場合には炎症や腫れが生じることがあり、足首の可動域が制限されることもあります。放置した場合、慢性的な痛みや足首の不自由さが残る可能性があるため、早期の治療が重要です。
薬物療法:痛みを和らげるために、痛み止めや抗炎症薬を使用することがあります。
注射療法:小児の方にはあまり行いませんが、ステロイドを関節内に注射することによって炎症を抑えます。頻回の投与は副作用が出ることもあるため注意が必要です。
体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。Iselin病の場合は自費治療になります。また、骨端線が早期閉鎖することもあるため通常よりエネルギーを落として行います。→詳細はこちら
LIPUS治療:LIPUSは、超音波音波療法の一種で、低強度の超音波を照射することによって骨の修復を促す治療法です。疲労骨折や骨折後の骨の治癒を40%程度早めるために使用されることがあります。LIPUSは非侵襲的で、一般的に安全性が高いとされています。痛みを伴いません。
装具療法:関節や骨の負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。
症状が重度の場合や治療が進まない場合には、手術が必要となる場合がありますが、通常は希少です。手術は、骨片摘出や骨接合術などが選択されます。
Iselin病に対するリハビリテーションは、足部の機能を高めて行くことで、運動機能の回復や再発の予防を目的に行われます。
ストレッチや、特別な手技を用いることで、関節の柔軟性を高めて行きます。
足首や足部の関節の安定性を高めるのに関わる筋肉を強化していきます。これらの筋肉は、足のアーチ構造を保つ役割もあるため、再発リスクを減らすことにも役立ちます。
運動中の足部や足首のバランス機能を高めることで、スポーツ時の安定性を高め再発のリスクを減らすことに役立ちます。
Iselin病は、アスリートの若年層に見られる足の疾患であり、主に反復運動や過剰なストレスが原因とされています。そのため、以下の予防方法があります。
反復運動を行う場合は、適度な休息を取ることが大切です。また、急激な運動量の増加や過度な負荷をかけることを避けることも重要です。
運動用の靴を選ぶ際には、足に合ったものを選ぶことが大切です。特に、アーチサポートがしっかりとしたものや、衝撃を吸収する機能があるものを選ぶと良いでしょう。
スポーツをする際には、足首やアーチのサポートをする用具を使用することで、負担を軽減することができます。使用する際は、専門の医師や専門家に相談の上使用すると安全に効果的に使用できます。
足の筋力を強化することで、負担を分散させることができます。また、柔軟性を保つストレッチも重要です。
カルシウムやビタミンD、マグネシウムなど、骨を強化する栄養素を摂取することも予防に役立ちます。