サルコペニア

sarcopenia

サルコペニア

サルコペニアとは?

サルコペニアとは、年齢とともに骨格筋量や筋力が減少することで起こる筋肉量の低下のことを指します。主に高齢者に多く見られ、転倒や骨折などのリスクを高めることがあります。また、慢性疾患や運動不足、栄養不良なども原因として挙げられます。

サルコペニアは、筋肉量の減少による機能低下症候群であり、以下のような症状が現れることがあります。

・体力の低下

・姿勢の変化(曲がりやすくなる、肩が前に出る、腰が痛くなる)

・運動能力の低下

・歩行や階段の上り下りなどの日常生活動作の制限

・体重減少

・脱力感

・疲れやすさ

・腕や脚の細くなりやすさ

サルコペニアの原因は?

サルコペニアの原因は、加齢による筋肉量の減少や筋肉の機能低下が挙げられます。筋肉量の減少は、加齢によるホルモンバランスの変化や、運動不足、栄養不良、疾患などが影響しているとされています。また、身体活動量の低下や疾患による長期間の安静生活も、サルコペニアの原因となります。遺伝的要因も関与するとされています。

症例

サルコペニアの診断には、筋肉量の測定が必要です。筋肉量の測定には、デュアルエネルギーX線吸収法(DXA)、生体インピーダンス法、MRI、CTなどがあります。また、身体機能の測定、栄養状態の評価、血液検査なども行われることがあります。しかし、現在のところ、サルコペニアを診断するための明確な基準はまだ確立されていません。

日本における基準の一つとしてAWGS 2019(Asian Working Group for Sarcopenia)のサルコペニアの診断基準は以下のようになります。

1.身体活動量、身体組成、身体機能の3つの項目を評価し、その結果を総合的に判断すること。

2.筋量指数((Skeletal Muscle mass Index:SMI))を測定し、SMIが以下の基準を満たす場合に筋肉量の低下と判定すること。

SMIとは四肢の筋肉量の合計を 身長(m)の 2 乗で割った値で、筋肉の量の評価値として用います。

男性:SMIが7.0 kg/m2未満

女性:SMIが5.7 kg/m2未満

3.筋力または身体機能の指標を測定し、以下のいずれか1つ以上を満たす場合に、筋力や身体機能の低下と判定すること。

握力(g):男性<26 kgf、女性<18 kgf

脚力(kgf):男性<53 kgf、女性<36 kgf

ペーストーステップテスト:12段階中10段階以下

5回椅子立ち上がりテスト:1分間に5回以下

年齢、性別、身長、体重、既往歴なども総合的に判断し、判定の優先度を設定すること。

サルコペニアが進行した場合のリスク

サルコペニアが進行すると、身体機能の低下や日常生活動作の制限、転倒や骨折などのリスクが高まるとされています。また、慢性疾患の進行や合併症の発生、入院期間の延長、医療費の増加なども懸念されます。さらに、サルコペニアが進行すると、寿命の短縮につながる可能性があるとも考えられています。

サルコペニアの治療方法

保存療法(手術しない治療法)

サルコペニアの治療方法には、運動療法と栄養療法があります。

運動療法には、抵抗運動(筋力トレーニング)が効果的であり、筋肉量と筋力を増やすことが目的となります。具体的には、重りを使ったエクササイズやバンドを使ったエクササイズ、マシンを使ったエクササイズ、体重を使ったエクササイズなどがあります。また、運動による身体の負荷が大きいため、医師や専門家に相談してから開始することが望ましいです。

栄養療法には、タンパク質の摂取が重要です。タンパク質は、筋肉を構成するために必要な栄養素であり、筋肉量や筋力の維持・増加に効果的です。また、ビタミンDやカルシウムも重要な栄養素であり、骨密度を維持するために必要です。食事やサプリメントからの摂取が考えられますが、摂取量やタイミングについては医師や専門家に相談することが望ましいです。

手術療法

サルコペニアは高齢者に多く見られる状態であり、身体的な機能が低下しているため手術のリスクが高くなることがあります。そのため原則手術療法は選択されませんが、別の疾患で手術が必要な場合があります。

リハビリテーションによる改善効果

サルコペニアに対するリハビリテーションでは、主に骨格筋の増加を目的とした筋力トレーニングを行い、サルコペニアの状態の改善や、予防を行います。

また、サルコペニアでは、筋肉だけでなく、関節の柔軟性やバランス機能等、安全に運動することに必要な体の機能が低下していることがあります。そのため、リハビリテーションでは、関節の柔軟性を高めたり、バランス機能を改善するための運動を合わせて行います。これにより、痛みや、怪我を予防しながら適切に骨格筋を増やすことが可能になります。

日常でできる予防対策

サルコペニアの予防方法には以下のようなものがあります。

適切な栄養摂取

タンパク質、ビタミンD、カルシウムなど、筋肉や骨を健康に保つために必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。特に、高齢者は、タンパク質の摂取量が不足しがちなため、食事やサプリメントからの摂取が必要です。

適度な運動

適度な運動は、筋肉や骨の強化に役立ちます。特に、抵抗トレーニング(筋トレ)は、筋肉量の維持や増加に効果的です。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動も、筋肉や骨を強化する上で役立ちます。たた、無理な運動や、運動のしすぎは逆効果になりますので、負荷の量は十分に注意が必要です。不安があれば、専門医や専門家に相談することをおすすめします。

生活習慣の改善

バコやアルコールの過剰摂取、睡眠不足、ストレスなどは、サルコペニアを引き起こすリスクを高める要因となります。これらの生活習慣を改善することも、サルコペニアの予防に役立ちます。

骨粗鬆症の予防

骨粗鬆症を予防することも、サルコペニアの予防につながります。骨粗鬆症の予防には、カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動、禁煙などが有効です。

早期発見と治療

サルコペニアは早期に発見し、治療を始めることが重要です。定期的な健康診断や、筋力や体組成の測定などが役立ちます。治療には、栄養改善、運動療法、薬物療法などがあります。

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