後脛骨筋機能不全/PTTD

PTTD

後脛骨筋機能不全/PTTD

後脛骨筋機能不全 PTTDとは?

PTTDとは、Posterior Tibial Tendon Dysfunction(後脛骨筋機能不全)の略称です。脛骨後腱は、足首の内側から足底にかけて走っている腱で、足の内側のアーチを維持する重要な役割を担っています。PTTDは、この脛骨後腱が損傷したり、弱くなって足のアーチが崩れる病気です。足のアーチが崩れることで、足首や足底の痛みや腫れ、足の内側が地面につく「扁平足」のような状態になることがあります。
PTTD(Posterior Tibial Tendon Dysfunction)の初期症状は、足首の内側に痛みや腫れ、または足首周辺の痛みやしびれが現れることがあります。歩行時に足首の内側が痛むこともあります。症状が進行すると、足首が内側に傾き、足のアーチが平らになるため、扁平足になることがあります。足首の内側にある腱の炎症が原因で、腱が弱くなり、足首を支える力が低下するため、足首が内側に傾いてしまいます。

PTTDの症状には、痛み、腫れ、アーチの平坦化、足首の内向きのローリングなどがあります。状態が進行するにつれて、症状は変化します。

たとえば、PTTDが最初に発症すると、足と足首の内側(腱のコースに沿って)に痛みがあります。さらに、その領域は赤く、温かく、腫れている可能性があります。

その後、アーチが平らになり始めると、足と足首の内側にまだ痛みがあるかもしれません。しかし、この時点で、足とつま先が外側に向き始め、足首が内側に転がります。

PTTDが進行するにつれて、アーチはさらに平らになり、痛みはしばしば足の外側、足首の下に移動します。腱はかなり悪化しており、関節炎はしばしば足に発症します。より重症の場合、関節炎も足首に発症する可能性があります。

PTTDの原因は?

PTTDの原因は、脚の内側の足底の支持役割を持つ足底筋膜張力腱の損傷や、足首の内側に位置する屈筋腱が弱くなり、足首が内側に傾き、内側の足のアーチが崩れることで、足底の骨や関節に負担がかかり、炎症や変形が生じることが挙げられます。また、肥満、加齢、足部外傷や過剰な負荷、糖尿病などもリスク要因となります。
後脛骨腱の過剰使用も原因です。実際、症状は通常、ランニング、ウォーキング、ハイキング、階段を上るなど、腱を含む活動の後に発生します。

症例

後脛骨筋機能不全(PTTD)の診断には、以下のような検査が行われる場合があります。

足の詳細な診察:足の形や動き、痛みの有無などを調べます。

レントゲン検査:足の骨や関節の状態を調べます。

超音波検査:後脛骨筋の走行や腫れを確認します。

MRI検査:足の軟部組織、特に靭帯や腱などの状態を調べます。

足圧検査:足の内側のアーチの高さや強さを測定します。

歩行テスト:歩行時の足の動きや姿勢を確認します。

これらの検査を組み合わせて、PTTDの診断が行われます。

PTTDが進行した場合のリスク

PTTDが進行すると、足首や膝、腰の痛み、または足首や膝の変形が生じることがあります。重症化すると、足首の外側が隆起し、足首が傾き、足首の外側に力がかかりやすくなり、膝関節や腰椎にも負担がかかります。歩行が困難になる場合もあります。そのため、早期に適切な治療を行うことが重要です。

PTTDの治療方法

保存療法(手術しない治療法)

装具療法:関節や骨の負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。

注射療法:後脛骨筋腱炎が起こっている場合、炎症をおさえるためにステロイド注射を打つことがあります。頻回の投与は後脛骨筋断裂のリスクもあるため注意が必要です。

消炎鎮痛薬:内服薬や外用薬にて炎症を抑えることが可能ですが根本的な治療ではありません。

運動療法:関節可動域を維持するための適切なトレーニングやストレッチを医師と専門職に相談しておこなう事が重要です

手術療法

重度の症状の場合、手術が必要になることがあります。手術には、滑膜切除術や長趾屈筋腱移行術、踵骨骨切り術、外側支柱延長術、3関節固定術などがあります。

リハビリテーションによる改善効果

後脛骨筋機能不全に対するリハビリテーションでは、機能不全を生じてる後脛骨筋を中心に、足のアーチ構造を支える様々な筋肉を幅広くトレーニングすることを行い、足のアーチ機能を保持する能力を高めていきます。加えて、足部の関節や足首の関節の柔軟性の改善、立ったときや歩いているときに、足の機能が十分に発揮できるようにするためのバランストレーニングを行います。

歩行や運動時に後脛骨筋腱や後脛骨筋に負担がかかる様なフォーム(歩き方)をしている場合には、その原因を探りながら、足だけでなく、膝関節や股関節の筋力トレーニングやストレッチなどを行うことで、症状の改善や、予防を行います。

日常でできる予防対策

筋力トレーニング

PTTDの原因の一つである足首の弱さを改善することが予防につながるとされています。具体的には、足のアーチを維持するために必要な筋肉(後脛骨筋、長腓骨筋、長母趾屈筋、母趾外転筋など)の筋力トレーニングを行い、足首を強くすることが重要です。

ストレッチ

足首の機能を維持するためには、筋肉を鍛えるだけでなく、柔軟性を維持することも重要です。足首や足の指、膝、股関節など、関節の柔軟性を高めるストレッチを行うことがおすすめです。

適切な靴の使用

不安定な靴や、ハイヒール、かかとが磨り減った靴などを使用すると、足首にかかる負担が強くなります。しっかりと足(特に、かかと)を支えてくれる機能がある靴を使用することで、足の負担を減らし、予防に役立ちます。

体重管理

肥満の場合、適切な体重を維持することで関節への負担を軽減できます。

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