アスリートと足

アスリート(スポーツ)と足病の関係

アスリートは、高い運動能力を発揮するために足に負担をかけることが多く、足病になりやすい状況にあります。

足病の原因は床反力の問題があります。
床反力(地面反力、地反力、またはグラウンドリアクションフォースとも呼ばれる)は、物体(この場合、人体)が地面に力を加えると、地面から同じ大きさで逆方向の力が物体に働く力のことを指します。これは、アイザック・ニュートンの第三法則(作用・反作用の法則)に基づいています。

歩行、走行、ジャンプなどの動作中に、足が地面に力を加えることで、地面からは同じ大きさで逆方向の力が足に作用します。床反力は、運動の安定性や効率性に大きく影響するとともに、足や膝関節、股関節などの関節や筋肉にストレスを与えることがあります。

運動の際に床反力を適切に管理することは、怪我の予防や運動パフォーマンスの向上に役立ちます。例えば、走行中に衝撃吸収性の高い靴を使用することで、床反力による足や膝への負担を軽減することができます。また、適切なフォームやランニングテクニックを身につけることで、床反力が効率的に管理され、関節や筋肉へのストレスを軽減することができます。

床反力は通常歩行で体重の1.2倍*、ランニングで3倍*、ジャンプすることで6倍*以上になります。体重が重いアスリートほどに関節にかかる負担が大きくなり、関節や関節につながる筋肉や腱、靭帯の損傷につながります。

地球上のスポーツである限り床反力のコントロールがスポーツの成功に関わっている事は間違いありません。

*床反力の垂直方向の成分を基準としたもの

アスリート(スポーツ)と足の骨格アライメント

骨格矯正は、姿勢や骨格のバランスを改善することを目的とした治療法やトレーニングです。骨格矯正がスポーツの成績に直接的に影響するかどうかは、個人差や骨格の状態によるため、一概には言えませんが、重量挙げの成績が増える、ゴルフの飛距離が伸びる、走行距離が伸びる、歩幅が増える、自転車をこぐスピードが向上するといった報告が多くされています。これらの結果を得るためには適切な骨格位置に矯正することが重要であり、動作解析技術や骨格構造の撮影(レントゲン撮影やCT撮影など)から得られるニュートラルポジションへの補正が重要になります。

適切な骨格矯正が行われる場合には以下のような効果をもたらすことがあるため、間接的にスポーツの成績に影響を与える可能性があります。

筋力のバランス改善

骨格のバランスが整うことで、筋力のバランスが向上し、筋力の効率的な使用が可能になります。

姿勢改善

正しい姿勢を維持することで、筋肉や関節への負担が軽減され、怪我のリスクが低下します。

関節の可動域向上

骨格のバランスが整うことで、関節の可動域が向上し、より効率的な動作が可能になります。

疲労軽減

骨格のバランスが整うことで、筋肉の疲労が軽減され、持久力が向上することがあります。

スポーツが原因でおきる足病・症状

スポーツ活動は体力や健康の向上に役立ちますが、同時に足に負担をかけることがあり、様々な足の病気や怪我が発生することがあります。以下は、スポーツが原因で起こりやすい足の病気や怪我です。

  1. 足底腱膜炎
    足底腱膜が繰り返しストレスにさらされることで炎症が生じ、かかとや足底に痛みが発生します。
  2. アキレス腱炎
    アキレス腱に過度なストレスがかかると、腱が炎症を起こし、痛みや腫れが生じることがあります。
  3. 踵骨棘
    踵骨に骨棘(骨の突起)が形成され、痛みや腫れが発生することがあります。
  4. 踵骨骨折
    衝撃や過度の力がかかることで、踵骨が疲労骨折することがあります。
  5. 腓骨筋腱炎
    腓骨筋腱に過度なストレスがかかると、炎症や痛みが生じることがあります。
  6. 疲労骨折
    繰り返しの衝撃や過度なストレスにより、骨が微細な骨折を起こすことがあります。これは、主に足の中足骨や脛骨に発生しやすいです。
  7. 足趾の骨折や捻挫
    スポーツ中に足指に衝撃が加わることで、骨折や捻挫が生じることがあります。
  8. ランナー膝
    繰り返しの走行やジャンプにより、膝の軟骨が損傷したり、炎症が生じることがあります。
  9. シンスプリント
    脛骨周辺の筋肉や骨膜が炎症を起こし、脛の痛みが生じることがあります。

アスリート向けの足病予防法

強度と床の固さ、運動の種類に応じた適切な靴選び

スポーツやトレーニングに適した靴を選び、足に合ったサイズや形状を確認しなければなりません。また運動をするときの床面(地面)の固さに合わせて、クッション性のある靴を選ぶ必要があります。アスファルトなどの硬い地面での運動の時間は極力へらし、関節に優しい、土やウッドチップなど比較的柔らかい地面でのトレーニングや、水中でのトレーニングを増やすことは怪我の予防につながります。
運動にあわせた専用の靴を履くことは重要で、ランニングをするときにスパイクをはいたりすると、競技でもないのに無駄な床反力を骨格にあたえることになりますのでできるだけトレーニングにあわせて靴を履き替えることが重要です

骨格矯正と除圧(圧の分散)の徹底

競技中でないトレーニングにおいては、足底装具を作り、できる限り足裏に加わる圧力を分散して運動を行う事が重要です。競技の際にパフォーマンスを向上させる装具と怪我を予防する装具は全く作りが違います。
パフォーマンスをあげるということは関節を固くして力を発揮できるようにすることであり、床反力の大きい場所でこのような装具を履くと怪我の原因になりますので注意が必要です。

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歩行解析の実施

歩行解析を行う事で動作の癖や、足部の可動域制限筋力バランスの問題を解析することがでます。これにより、日頃のトレーニングメニューやストレッチメニューを個人の状況に合わせて、適正化することができます。

→歩行解析はこちら

ウォーミングアップとクールダウン

運動前に十分なウォーミングアップを行い、運動後にはクールダウンを行って筋肉や関節の柔軟性を維持しましょう。

運動別に必要となる足のストレッチと筋力トレーニング

基本的には、足首や足指など足の関節(ふくらはぎの筋肉や、足底腱膜)を柔らかくするために、ストレッチをすることはスポーツ全般で重要です。加えて、運動別に、重要となる筋肉の柔軟性と関節の可動域の拡張はパフォーマンスの向上だけでなく、怪我の予防において必要となります。さらに、筋力の左右バランスや脚長差など身体的な特徴に応じて、足や立位、運動を行う時のバランスや安定性などを向上させるためのトレーニングメニューが重要になります。

優れたパフォーマンスや長期的な競技生活のために

アスリートの皆さんは、日々の練習や競技を通じて足に大きな負担をかけることがありますが、適切なケアや対策を実践することで、足病のリスクを最小限に抑えることができます。また、自分の骨格の特性を知ることは運動を力学的に最適に行う上ではとても重要な検査です。走る、歩くという姿勢はどのスポーツでも行われる基本的動作になります。

近年の米国スポーツにおいてメジャーリーグやNBA、ゴルフなどほとんどのスポーツで当たり前のようにモーション解析とそれに伴う、トレーニングメニューの調整、装具による補正が行われています。米国ではスポーツドクターにも足病医が同行しており、最大のパフォーマンスと怪我のサポートを行っています。

健康な足は、アスリートにとって優れたパフォーマンスや長期的な競技生活をサポートする基盤となりますので是非、当院の足病医学の力を活用ください。

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