Children's Feet

こどもの足(矯正)

こどもの足の成長

こどもの足の骨の形成過程は、成長と発達に伴って徐々に進んでいきます。出生時から15歳ごろまでの間に、足の骨は成長し、形状が変わり、機能が向上します。男女によっても成長速度が変わり、個人差もあります。

出生時:赤ちゃんが生まれたとき、足の骨はまだ完全には発達していません。足の骨の多くの部分は軟骨(骨の材料:成長とともに骨を作っていくため減少していきます)で構成されており、成長過程で骨に置き換わります。赤ちゃんの足は柔らかく、形状が変わりやすいため、適切な履物が重要です。

幼児期:こどもが歩き始めると、足の骨は急速に成長し始めます。足のアーチ(土踏まず)は、この時期に徐々に形成され始めます。また、足の筋肉や靭帯も発達し、支持機能が向上します。

学童期:足の骨の成長は継続し、アーチがさらに発達します。こどもの足は、この時期に成人の形状に近づいていきます。ただし、足の成長には個人差があります。

思春期:通常、思春期の間に足の骨の成長が完了します。成長プレート(骨端線)が閉じ、骨の長さが最終的な状態に達します。女性は通常、12~14歳頃に足の成長が終わることが多いのに対し、男性は14~16歳頃に足の成長が終わることが多いです。

こどもの足の骨の発達は、遺伝や栄養、環境要因など、さまざまな要素に影響されます。適切な履物や適度な運動が、足の健康な成長と発達に役立ちます。足の形成や発達に不安がある方、何かおかしいと感じた場合にはできるだけ早く受診をしてください。こどもの足の裏には基本的には胼胝(たこ)や魚の目ができる場合は少なくほとんどが靴擦れなどの靴の問題によりますが、そのまま放置することで骨形成に影響を与える場合があります。また、子供が足を痛いというケースも少ないので、痛がる場合にはすぐに受診することが早期発見につながります。こどもの足の適切な成長には、両親が足や靴の知識を持つことがなによりも重要になります。

こどもの足の変形

こどもの足は変形が起こりやすく、適切でない履物や姿勢の維持が足の成長を阻害することは歴史的な事実が語っています。中国の纏足(てんそく、英: foot binding)は、中国でかつて行われていた女性の足の変形と縮小を目的とした文化的慣習でこの慣習は、中国宋代(960年 - 1279年)から始まり、20世紀初頭まで続きました纏足の過程では、4歳から9歳頃の幼い女の子の足に包帯を巻き付け、親指以外の四つの指を足の裏に折り曲げ、足の甲を強く押し下げることで、3~4インチ(約7.6~10.2センチメートル)の小さな「蓮の花」と呼ばれる足を作り出すことを人為的に行っていました。
大人の足をしばりつけてもこのように変形させて固定させることはできず、幼児期のアーチ形成が行われる成長段階においてのみ劇的な足の変形が可能といえます。

こういった変形を作ることは、現代医学では足の健康と機能を著しく損なうものであり、歩行困難、慢性的な疼痛、感染、変形、足の骨折などの深刻な健康上の問題を引き起こすものであり、否定されています。
そのため、現代ではできるだけ適切な履物の指導が最重視され、そのうえで不足する場合には骨形成を誘導するための装具の支援を行います。

しかし、日本では履物の指導は学校教育では行われていない状況で、大阪大学などの研究によると、小学校の40%さらに中学生の60%で足部の変形が存在しているケースが大阪市内で確認されたという報告もあります。

特に米国の足病医学では現代では足病は増加していると考えられており、道路の舗装によって関節炎や変形が増加しています。道路が舗装されることで、土や芝などよりも地面が固くなったことから、地面から足の骨や関節に加わる床反力が増加したことで病気が増えたと考えられています。コロナ下でアスファルトの上で縄跳びなどをし続けていた小学生などの疲労骨折受診が当院でも増加傾向にあり、固い地面での運動にも注意が必要です。

こどもの足矯正とは?

大人の場合、一度成長した骨や関節の矯正は手術以外では行えず、装具を利用する場合には眼鏡のように装具装着をしている間だけの矯正効果になりますが、こどもの骨形成に関して、装具(インソールやその他の矯正装置)は一部の矯正効果がある場合があります。
米国では広く、装具によるこどもの足の矯正・骨格の矯正を行っています。

日本には「インソールはこどもの足の矯正効果を持たない」という主張を行う医師が一定数いますが、この表現は必ずしも医療用装具を示す言葉ではなく、一般的にドラッグストアで販売されるようなクッション機能だけのものや適切な硬度(固さ)や形状を持たないものは効果を有さないという事としての表現として事実です。矯正効果を有するインソールは医療用装具以外は存在しませんので、矯正を検討される方は医師の受診が必要になります。

また、医療用装具であっても適切でない処方の装具は効果を有しません。

こどもの足の問題や矯正は特に、こどもの成長期(幼児期、学童期)において、足のアライメントやアーチ形成がまだ発達途中であるため、例えば、こどもが回内足などでアーチが低い足を持っている場合、適切なアーチサポートを提供し、足の機能を改善し、疼痛や不快感を軽減する事が必要な場合があります。また、足首の安定性を向上させ、全体的な足のアライメントを改善することは成長過程において重要になります。

しかし重度の足や骨格の問題に対しては、装具療法のみでは限定的な効果しかありません。足の矯正を行う場合には、こどもの足の成長や発達を定期的に評価し、必要に応じて装具の調整や交換を行うことは必須になり、またリハビリテーションなどの併用を行う事が望ましいと考えられています。

当院でのこどもの足の問題や骨形成の矯正は整形外科、足病医、理学療法士で相談し、適切な治療法やサポートを検討の上実施いたします。

こどもの足矯正のエビデンス問題

どの程度の硬度や形状をどのようなこどもの足に適用すると骨の矯正が可能であり、治療されるかの統計学的なエビデンスが多く存在していないことからも装具療法にはエビデンスがないといわれる医師もいます。
この点について現代医学によって再度エビデンス化されていない部分が多いのは事実になりますが、ドイツでは200年、米国では100年以上前から行われている治療であり、それが即ち無効であるという証明ではありません。(完全に無効な治療を米国FDAが認証し現代まで許諾することはありません)

病気の種類・病態によっては、足の装具を小児に適用することは必要な治療として定められるものも多くあり、そういった治療には明確なエビデンスが存在しています。当院では、米国やドイツなどの小児整形や米国の足科医などが適応する装具を用いて足の矯正治療を行います。インソール型のものと、ストレッチを持続的におこなうような矯正装具など、足の変形や重症度に応じて治療を行います。

こどもの足の矯正を行う目的

1.歩行や運動機能の改善

足の形や機能を改善することで、歩行や運動の能力を改善する目的で骨格矯正を行う場合があります。うまく走れない、運動できないというのはこどもの日常生活に多大な影響をあたえることから、気にされる親子は多く、こういったケースで足に関連した問題を抱えているこどもたちにとって、足の矯正は、日常生活や運動のパフォーマンスの向上につながる場合があります。

2.骨格の正常化・姿勢の正常化

足の形や機能が正常でない場合、腰や背骨など他の部位に影響を与えることがあります。学校でも背骨の変形についてはチェックが必ずされていますが、全身の姿勢変形とあわせて当院では足部の骨格の成長で異変がないかを確認し、骨成長の問題で姿勢に影響を与える場合

足の矯正によって、骨格が改善されることで、全身の姿勢の改善につながる場合があります。

成長段階で正常に戻るケースも多くあります。その場合もフットウェアの習慣や歩き方、運動習慣は正常化にむけて大変重要な要素であり、当院ではそういった場合にも適切な習慣への行動変容について保険適用内で指導させていただいていますので、姿勢や運動機能で心配があるご両親はお気軽に受診ください。

対象となる方

東京23区在住の方は保険診療が適用される場合には治療費は中学生までの間は無料となりますので、お気軽にご相談にご来院・ご相談ください。

また、子供の足の裏に胼胝(たこ)や魚の目(ウオノメ)ができる場合、足が痛いという場合にはすぐに受診してください。

まわりの子供と比べて運動機能が低いと心配な方

足が遅い、ボールを投げるのが苦手など運動が苦手な場合、発達障害の可能性がありますので、お気軽に受診してください。

捻挫をしやすい、転びやすい 

子供がよくころんだり、けがをしたり、捻挫をしたりする場合には、骨形成や筋力不足など、なにかしらの異常がある場合がありますのでお気軽に受診してください。

すぐに座り込んでしまう

こどもの足は大人と比べて疲れやすいもので、足に違和感が出る場合には歩かなくなり  ます。怠慢ではない場合が多くありますので、よく座り込んだりしている様子がある  場合には一度受診をすることをお勧めしています。

姿勢が悪い、まっすぐ立てない・座れない

姿勢をよくしなさいといってもできない子供は多くいます。姿勢を維持できない問題は骨格や筋力不足による問題である場合が多く、根性で姿勢を維持することは難しいです。姿勢が悪いと感じた場合にはお気軽にご相談ください。

小児麻痺やダウン症などの方

小児麻痺やダウン症などの影響であるき方が普通と違う事で心配な方は、装具療法や歩  き方の指導、運動訓練などで一部を改善できる場合があるのでご相談ください。

当院のこどもの足矯正の特徴

整形外科、米国足病医、理学療法士による治療提案

こどもの足を診断することは難しく、できる限りトレーニングやストレッチなどの手段  で治療をすることを提案しますが、装具療法の適用が必要な場合についてはその処方に  ついて米国足病医と整形外科にて相談の上、装具処方を行います。

装具とトレーニングの併用が可能

装具のみの処方を行うのではなくトレーニングによる改善を前提として、装具は補助的に行うまたは、ストレッチ装具などを前提として、トレーニングを補助的に行うなど骨格矯正と筋力トレーニング、可動域拡張などをワンストップで治療提案可能です。

装具の調整は骨形成が終わるまでサポート

装具処方をする場合には骨形成が完了する、12歳から15歳になるまで責任をもって最後まで伴走サポートを行います。

こどもの足矯正の治療の流れ

1.保険診療 初診をご予約

まずは保険診療の初診にて、足病の有無や小児疾患の有無などについて診断いたします。

足病があり装具療法が適切な場合

1.ご予約
装具採型外来をご予約ください

2.装具完成
装具完成後、装着確認を行います

3.点検・調整

装具の点検を3か月、半年毎に行い調整をします。
靴のサイズが変わった場合には、すぐに再受診をお願いしています。

4.リハビリテーション

自費リハビリテーションにより運動機能の改善を行う事ができる場合があります。
この場合には、歩行(歩容)解析を申し込んでいただき、精密な歩行解析検査が必要になります。 
→歩行(歩容)解析はこちら

特別な病気がない場合

1.保健指導

足の成長に関する保健指導を医師、看護師、リハビリテーションスタッフより実施します。自宅でできる運動やストレッチなどの指導も行います。

2.装具作成

希望される場合には予防目的で自費で装具作成を行う事ができます。費用などは装具によって異なりますので、受診時にご相談ください。

3.リハビリテーション

自費リハビリテーションにより運動機能の改善を行う事ができます。この場合には、歩行(歩容)解析を申し込んでいただき、精密な歩行解析検査が必要になります。

→歩行(歩容)解析はこちら

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