Gait Analysis

歩行(歩容)解析

歩行(歩容)解析とは?

歩行解析は歩容解析(ほようかいせき)ともいい、英語ではGait Analysisといいます。Gait Analysisは歩行の詳細な解析を行うための技術です。この技術は、米国カリフォリニア州にあるランチョロスアミーゴ病院に務めた整形外科医であり、運動生理学者で、その専門知識と貢献から「膝の女王」とも呼ばれたジャクリン・ペリー博士(Dr. Jacqueline Perry)が体系化したものです。

米国では、身体の構造や筋肉、関節などに問題がある場合、歩行パターン(歩容:歩き方)が変化するため、その原因を特定するためにGait Analysisを必ず行います。Gait Analysisを行う事で、運動障害の診断や治療計画の策定、リハビリテーションの進捗のモニタリングが初めて可能になる重要な検査です。

米国ではフルサービスで検査すると4,000ドル(56万円)の検査と大変高額な検査ですが、最適な装具や手術を行う場合には必須の検査として強く推奨されている検査となります。残念なことに、日本ではこれらの検査技術を医師または理学療法士が医学部で学ぶ時間は非常に少なく、臨床現場で必須検査としている医療施設は当院などの専門クリニックや病院のみが行っています。

当院の歩行(歩容)解析

当院のGaitAnalysisは2種類実施しています。

保険診療としては、医師が撮影した動画をその場で確認して行う簡易的な歩容解析を初診にて実施しています。動画をコマ送りなどで評価するものではなく、医師が全体の歩容を診ながら特徴的で病気に直結する特徴のみを説明します。
もう一つは自費診療になりますが、訓練を受けた理学療法士が撮影した動画を元に、米国足病博士により定義された米国式の解析フォームに基づいて動画モーション解析を行い、その結果を医師、米国足病医で情報の共有を行い、検査内容に問題がないかを相互チェックしてレポートにします。このレポートでは姿勢や生活などへの影響とその原因の指摘とそれらの改善のためのリハビリ方法や靴やフットウェアの提案、歩行計画までを詳細に説明します。標準治療のみで改善しきらない歩行の問題の場合などで詳細解析を提案しています。

歩容解析を行う目的

身体の構造や筋肉、関節などに問題がある場合、歩行パターン(歩容:歩き方)が変化するため、その原因を特定するためにGait Analysisを行います。

歩行は2つのフェーズ立脚期(りっきゃくき)と遊脚期(ゆうきゃくき)に分けて分析されます。立脚期(りっきゃくき)とは、歩行時の1つのステップ(歩容)において、片足で体重を支える期間のことを指します。つまり、一方の足が地面に着地してから、次の足が着地するまでの時間です。立脚期は、歩行時の重要な要素の1つであり、身体のバランスを維持するために必要な時間でもあります。約60%の時間が占められ、その後、もう片方の足を前に出して次のステップに進む遊脚期に移行します。遊脚期には、膝関節と足首が伸展することで、足を前方に運ぶ力を発揮します。また、股関節の屈曲と内旋が進行することで、足を前方に運ぶ姿勢が保たれます。

歩行解析では立脚期は踵接地期 (Initial contact)、荷重応答期(Loading response) 、立脚中期 (Mid stance)、立脚後期 (Terminal stance)、前遊脚期(Preswing)にわかれておりそれぞれのフェーズでの足の動きを中心に全身の動きを評価します。

遊脚期は遊脚初期 (Initial swing)から遊脚中期 (Mid swing)、遊脚中期 (Mid swing)から遊脚終期 (Terminal swing)にわけて分析がされます。

歩行をそれぞれのフェーズにわけて、正常と考える動きからずれている部分を抽出してその原因を評価します。
例えば、踵がすぐに床から離れてしまうという特徴があれば、その原因はアキレス腱が短いことや関節可動域の制限が考えられます。踵がすぐにあがってしまうということはその分、足の前の部分に負荷がかかる時間が長くなり、それらの姿勢が原因で痛みを発生させているといったように動きのエラーから関節や筋肉・腱などのエラーをみつけることで、治療するべき関節や筋肉・腱などを特定するのです。歩き方は結局のところ、骨格構造と関節可動域の問題からおきる結果であり、歩行(歩容)を解析することで、これらの問題を特定します。

このような方におすすめ

足の裏に胼胝(たこ)がある方

足の裏に胼胝(たこ)があるということは、足のどこかに床反力にともなう圧力の異常があるといえます。床反力とは、歩くときに重力と体重で地面に加わる力が地面から跳ね返ってくる力の事で、強く地面を踏めばふむほど床反力もあがり、早く歩いたりはしったりすることができます。足の骨格構造や可動域に問題がない場合、足の裏はツルツルで固い場所はありません。しかし骨格などの問題がある場合、圧力がかかる場所の皮膚が固い角質におおわれてタコになります。足の裏のタコを放置すると足病に発展していき、痛みや関節炎など将来、歩行を失う大病に発展することは珍しくありません。足の裏にタコができたら、骨格異常や可動域の異常を疑い、歩行解析を行う事をお勧めします。

関節が痛い方

膝や足部の関節、股関節などに痛みがある方は一度GaitAnalaysisを行う事を推奨いたします。人工関節置換術が必要といわれるような関節の軟骨損傷などがある方の場合でも歩容(歩き方)を適切に変化させることで痛みを緩和できる場合もあります。関節炎の原因は外傷(けが)を除けば、歩行などの運動のさいに地面から加わる床反力の負担に関節が耐えられない場合が多くあります。歩容解析は床反力の異常を評価する上で重要な検査になります。

フレイルやサルコペニアの方

フレイル(虚弱)やサルコペニア(高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象)等の方は歩容解析によって問題となっている筋肉や関節の動きをチェックすることが重要です。これらの症状を放置していくと大転倒につながり、転倒骨折から寝たきりになるケースが高齢者にはとても多いのが現実です。寝たきりの防止のためにも、歩くスピードが落ちてきた、街中で若者にどんどん抜かれているなどと感じている方は歩行解析をお勧めします

姿勢が悪い方

最近では反り腰などの姿勢の問題がいろいろな場所で指摘されていますが、歩くときの姿勢がまっすぐモデルのように歩けない方がほとんどです。それらの姿勢の問題は、関節と筋肉の異常によって発生しています。子供の姿勢が悪いと嘆くご両親も多いですが、米国では姿勢の問題は筋骨格の問題として、歩行解析を行って、筋肉トレーニングやストレッチなどによって解決をします。子供から大人まで歩く姿勢が悪いと感じる方には歩行解析をお勧めします。

当院の歩容解析(Gait Analysis)の特徴

異常歩行が分かる

歩行解析によって、歩行中の動作のパターンから異常歩行がわかります。異常歩行がある場合、身体のどこかに痛みを生じる場合が多く、代償運動という形で歩き方を異常な形に修正しながら日々運動をすることになります。

これらの原因を特定し治療することで痛みや代償運動による姿勢の乱れを治療することができます。

(問題歩行の例)
トレンデンブルク歩行(Trendelenburg gait)

股関節の筋肉に問題がある場合に発生する歩行障害です。この歩行障害は、骨盤が傾いて歩いている歩行障害になります。トレンデンブルク歩行の人は、股関節の中殿筋などの外転筋群の弱化、萎縮、または神経障害が原因で、持続的な筋肉収縮ができず、歩行中に健側の骨盤が下がってしまい、傾いた状態で歩くことになります。

障害の原因となる筋肉や腱、関節がわかる

足病の問題は関節などの異常によって床反力を正しく処理できない事から起きる場合が多く、その原因は、動くはずの関節が動かないことや、逆に動きすぎること、筋肉が弱く支えられないこと、腱などが短く可動域に制限が起きることなど、関節や筋肉、腱などの異常からおきます。問題の歩行のモーションがわかることで、歩行に必要な機能の何が障害されているかを知ることができ、問題の筋肉や腱、関節に介入して治療をすることで改善が見込めます。

複数の専門職でトリプルチェック

本場の米国では複数の医師(リハビリテーション医師、整形外科、足病医など)と理学療法士、看護師、義肢装具士などが数名から多い場合には10名程度でGait Analsysを行っています。GaitAnalysisの解析方法論はペリー医師が開発した方法論を基本として米国では多くの足病医や理学療法士が実施できるのですが、複数の専門職で同時に行う事でミスや見逃しを防いでいます。当院のGait Analysisも自費診療の場合に限ってにはなりますが、医師、理学療法士、米国足病医にて歩き方の動画を解析または解析結果のチェックをすることで見逃しや解析のミスがないように運用されています。
※保険診療で行うGait Analysisは担当医師によるチェックのみとなります。

歩容解析の流れ

歩行解析は当院に受診された方は全員解析を受けることができます。(※但しレントゲン等の検査を希望されない患者さんで実施されない場合があります)
多職種でのチェックや詳細な解析レポートを行う場合には、次の二つの流れで解析を行う事ができます。

保険標準治療を当院で受診される方

1.初診予約

保険診療の初診をご予約の上、保険の歩行解析をうけてください。

2.歩行解析申し込み

初診受診時または再診受診時に医師または看護師に歩行解析の希望をお知らせください。

3.追加検査の実施

保険診療で撮影した動画を元に、解析を行いますが、追加で筋力等の測定を行います。2週間程度で解析レポートが完成します。

4.再診時に医師より説明

レポートの説明は再診で来院される際に合わせて行います。

5.希望される場合にはリハビリ計画を策定 

解析のみを行う方・リハビリ再生医療等自費診療を希望される方

1.歩行解析予約をご予約ください。

2.歩行解析を受診

当院にご来院いただき、歩容解析検査を実施いたします。

所要時間は一時間程度です。
※リハビリ再生医療等自費診療を希望される方はレントゲン検査や他院でのMRI等の検査結果を別途お持ちいただく場合があります。

3.分析結果の解説を行います

当院の医師・理学療法士より15分ほどで、
あなたの歩行の状態について詳細に説明します。

4.希望される場合にはリハビリ計画等治療計画を策定

リハビリ等での自費治療を希望される場合には、30,000円(税別)で治療計画を策定いたします。

費用

保険診療の場合には初診料に含まれています。

自費解析(レポート希望の方)

保険標準治療を当院で受診された方:15,000円(税別)

解析のみを行う方:27,000円(税別)

→歩行解析までを行います(レントゲン撮影費用込み)

リハビリ・再生医療等自費診療を希望される方:57,000円(税別)

→自宅型・通院型のリハビリプログラムの作成までを行います

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