Rehablitation

リハビリテーション

足と歩行のリハビリテーションとは?

リハビリ(リハビリテーション)とは、怪我、病気、またはその他の障害によって身体的な機能や能力に障害を受けた人々を、機能や能力の回復、維持、促進を目的に治療する療法です。当院で行う足のリハビリテーションは、足の機能と歩行機能および、フレイルやサルコペニアによる障害の改善や予防的な観点で行うプログラムを提供しています。

足病医による足と歩行の治療には、骨格や姿勢の矯正(原因となっている問題の是正)が重要であり、骨格や姿勢に筋肉や関節の可動域(動く範囲)が大きく関わっています。

様々な治療により、痛みを軽減することが可能ですが、痛み止め(注射や投薬)は根本的な解決にはつながらず、また装具療法においても装具を未装着の状態では効果を発揮しません。自身の肉体を改善することは、薬や注射に頼らない回復効果を期待することができ、手術と合わせて重要な治療方法となります。

当院では株式会社ReWalk社が米国足病医と共同で開発した米国足病医式のリハビリテーションプログラム「ポダリハ」を採用しています。

足と歩行のリハビリテーションを行う目的

足と歩行の治療または予防に必要となるポダリハは以下の目的で行っています。

1.筋力の向上ー筋肉を太くする

筋力は筋肉の断面積と比例関係にあると言われています。 つまり、筋肉が太いほど強い力を出すことができるということです。筋肉を太くするためには、筋力トレーニングや電気刺激によるトレーニングなどがあります。

2.筋力の向上ー筋肉への脳からの命令を増やす

筋力の向上のためには、筋肉を太くする以外に筋肉への脳からの神経系の命令を増やさないといけません。、簡単に言うと「持っている筋力を発揮できる力」といえます。 脳からの運動命令がうまく筋肉に伝わらない場合は筋力の低下となり、筋肉はあるが動かない、動くまでのスピードが遅いという事がおきます。これらは特別なトレーニングにより改善することができます。自分がおもったよりも足があがらないことでつまずきやすい方が高齢者では多く、こういった症状の方には脳からの命令を増やす筋力トレーニングが必要になります。

3.関節可動域の拡大

関節は動かさずにいると年々その動きが悪くなっていきます。動いていない関節とそこに関係する筋肉をストレッチにより動かすことによって、関節が動く範囲を広げることができます。

4.バランス機能の向上

バランスを失う事でつまづきやすく、転びやすい状態になってしまいます。

バランス機能は筋力、骨格姿勢が複雑にお互いに影響しあうことで達成できる機能になります。いずれかの機能に障害があるとバランス機能は低下するため、バランス機能を向上するためには、問題のある筋肉、関節可動域、姿勢を改善するためのトレーニングプランが必要になります。

5.血流改善

血管は運動をしないとどんどんと細く、弱くなり血流が減っていきます。また加齢や運動不足による心肺機能低下、生活習慣による動脈硬化などが関連して血流が悪くなります。適切な運動メニューや歩行量の管理、歩き方の改善で下肢の血液量を増加させることができ、血管機能を改善することができます。

ふくらはぎは第二の心臓ともいわれる部位であり、この筋力が低下することでむくみや冷え性の原因となる場合もあり、特に女性の方では血流改善のためのリハビリテーションが重要です。

当院のリハビリプログラムの例

バイオフィードバック ​足関節・足部筋力トレーニング(筋力)

扁平足の方は、前脛骨筋・後脛骨筋・腓骨筋、外反母趾の方は、長母趾屈筋・長趾屈筋・母趾外転筋といったように症状にあわせて必要な筋力を限定してトレーニングを行います。筋力の効果的な改善のためには、神経学的要因(脳からの筋肉への命令)と量的要因(筋肉の太さ)のふたつを改善する必要があります。神経学的要因は、筋肉への脳からの指示を伝える機能であり、バイオフィードバックは、筋力の神経学的要因を改善することを目的しています。足の筋肉トレーニングは、非常に細かく、動きが複雑でセルフトレーニングでは実施が難しいです。

股関節外旋・外転筋力トレーニング(筋力)

O脚の原因の一つとして股関節外旋筋力(足を外にねじる動きの筋力)の低下があります。股関節外旋筋力はお尻の外側にある筋肉の一つでこの筋肉が弱い方は股関節が内側にねじれやすくなります。股関節が内側に曲がる事で膝が凹脚に見える要因になっています。また、外転筋は歩行のふらつきを止める筋肉であり、弱くなると転びやすくなります。これらを筋力トレーニングによって改善します。O脚改善を目的に外旋筋群に特化したトレーニングマシンも使用します。

膝伸展筋力トレーニング(筋力)

膝の伸展筋力は歩行、階段昇降、坂道の移動、立ち上がりなどで身体をささえるもっとも重要な筋力です。この筋肉が弱まると膝の関節​に負担が多くなり、変形性膝関節症の悪化を招くといわれています。膝伸展筋力を維持する事で、膝の軟骨損傷を防ぎ、膝の痛みを減らし、歩行の安定性を高める効果が期待できます。これらもバイオフィードバックトレーニングで必要な筋肉をトレーニングしていきます。

BSESベルト電極式骨格筋電気刺激法(医療用EMS)(全体)

BSESは医療用のEMS機器(電気刺激により筋肉を強制的に動かす機械)であり、一般的な市販のものよりも広範囲に同時に強力に筋収縮を促すことができる、足のリハビリのための専門のEMS機器です。BSESを利用することで、下肢の筋力の向上、筋萎縮(筋肉が細くなる)の予防、糖代謝を下げる(血糖値を下げる)、脂質を下げる効果を期待する事ができます。

血流改善プログラム ​動脈ポンプリハビリテーション(Art Assist)(血管)

脚の血流が悪くなると、筋肉の減少につながります。筋肉は血液からの酸素供給や栄養がないと働く事も維持する事もできない臓器です。血流は運動不足や、慢性疾患などが原因でおこる動脈硬化症などによって減少します。血流の悪化に比例して、筋肉も徐々によわまっていくため、毛細血管新生を促すために動脈を外部からポンプで絞るように刺激する機器を用いたリハビリテーションです。機器はFDAで承認されたものを利用します。

ポダイアトリック・ストレッチング ​(米国足病医式ストレッチ)(関節可動域)

足(足首から下)には、両足で身体全体の4分の1の骨と関節が集まっています。それらの複雑な動きを米国足病医学に基づき、各関節、筋肉、周辺組織をストレッチします。ストレッチをすることで、可動域を広げ、歩行時の衝撃吸収能力を高め、痛みの軽減や関節への負担を軽減し、歩き方の改善を行います。

このような方におすすめ

ポダリハは歩行に不安のある方(転びやすい、ふらつく、すぐに疲れる、歩くと痛い)といった方の不安を改善するためのリハビリテーションプログラムです。

​こういった不安がある方は、足の裏にタコがあったり、足の骨が変形している事が多いため、医療施設と連携し足病の治療と並行してリハビリテーションを行います。

足底に胼胝(たこ)がある

足の裏に胼胝(たこ)があるということは、床反力による異常が生じているサインです。床反力の異常は、歩き方や足の変形が原因となることが多く、筋肉や可動域、姿勢の改善が必要となります。このため、リハビリテーションによる改善が必要になると考えられます。

歩行不安・歩き方が気になる

歩く時の姿勢や歩き方は骨格や筋肉の付き方、可動域の制限によって特徴づけられます。問題の筋肉や腱などをGaitAnalysis(歩行解析)にて検査することで適切なリハビリプログラムを設計することができます。

足の変形・痛み

足の変形は、たこと密接に関連しており放置するとと変形が進行するケースが多くなります。足の変形は、通常の扁平足や凹足、外反母趾に加えて、リウマチやシャルコーフット、糖尿病などによっても発生します。骨格が変形すると歩き方に多大な影響をあたえ、本来動くはずの筋肉や関節が動かなかったりまたは過剰に動くようになり痛みにつながります。原因となる筋骨格に介入するリハビリで改善を図る必要があります。

動脈硬化・間欠性跛行・冷え・むくみ

6分以上連続して歩けない、足が毎日むくんでしまってこまっている。慢性的な冷え性であるというかたは、心肺機能と血管機能に障害が発生している場合があります。心肺機能や血管機能は適切な運動によって改善できることがわかっています。また歩行管理を適切におこない歩行量を増やすことでも改善が期待できます。

フレイル・サルコペニア

フレイルやサルコペニアは加齢による筋力低下によって発生する症状です。リハビリにより筋肉量と筋への脳からの命令を増やすことで改善が得られると考えられます。

当院では40%程度のフレイルまたはプレフレイルと判断された患者さんが3か月のトレーニングでフレイル状態から改善しています。

O脚・X脚

O脚やX脚の方は、膝が変形している場合が多く、変形性膝関節症になりやすい状態と言えます。これらは、関節の動きや筋力低下も多く影響しているため、将来の痛みの予防のためにリハビリを行うことが効果的です。

また、O脚やX脚は膝の変形ですが、扁平足や凹足などの足の変形を引き起こすことも多いです。したがって、足の変形予防を目的としたリハビリも効果的です。O脚やX脚は膝関節だけの問題ではなく、足や股関節の筋肉も関係しています。変形性膝関節症や痛みを予防するためには、足全体をバランス良くトレーニングすることが必要です。

足裏の胼胝や魚の目、靴ずれや低温やけどなども、健康であれば痛みを伴うものですが、糖尿病が進行していると、痛みの感覚が乏しくなったり、足のトラブルに気づかないという自体が起きてしまいます。

糖尿病の方は合併症の1つである「神経障害」がある場合、痛みに対して鈍感になる=身の危険を察知できなくなってしまうことにありますので症状を感じていてなくても、足病が進行していたり、筋力が低下して傷を作りやすい状況になっている場合がりますので、一度受診される事をお勧めします。

当院でのポダリハ(足と歩行のリハビリ)の特徴

当院で採用している足と歩行に特化したリハビリプログラム、「ポダリハ」は、医療機関での検査結果をもとにリハビリテーション計画を米国足病医と理学療法士が連携して立案する日本で唯一の足と歩行専門のリハビリテーションサービスになります。

​医療検査では、荷重下レントゲン(立ったまま撮るレントゲン)、足病の診断、継続中の治療を確認させていただき、日本の足病専門医の指示に基づいて、Posture&GaitAnalysisによる歩容(歩き方)検査、筋力の検査、関節可動域の検査等を行いリハビリ計画を策定します。リハビリテーションは1回最低60分(保険診療では20分以内でのリハビリが中心です。また、診断からの上限日数があります)、症状によっては120分までのプランで週1回から2回行います。

​3ヶ月を1クールとして概ね、1クールで歩行機能の改善を目指しています。

医療検査

提供医療機関での医療検査を行っていただきます。​足病の方は保険診療で行われた治療記録を元に疾患状況を考慮してリハビリプログラムを策定します

1:1リハ

リハビリは訓練をうけたトレーナーと完全1:1で個別に実施します。リハビリプランも1人1人に最適化されています。

最低60分~ 3ヶ月

リハビリは、最低60分 週1回を3ヶ月行う計画から行います。症状によって週2回のリハビリ提案をする事もあります。

足と歩行のリハビリは60分未満で監視下でない場合ほとんど効果を発揮しないというデータもあり、確実な成果には60分以上のトレーニングが必要になります。

医師サポート

リハビリ中の問題や、副反応(痛みなど)はすぐに医師と連携して対応を行います。歩行機能の回復まで医師のサポートのもとリハビリを行います。

一人一人に歩行管理を実施

当院のリハビリテーションをうけられる患者さん全員に、歩行管理指導を行っています。歩行管理とは、毎日どのくらいの距離を歩くのか、歩くスピードはどうするか、歩くときの靴やフットウェアをどうするかなど、毎日歩くための指針を説明いたします。

その上で、歩行目標を当院のリハビリスタッフや看護師と共有し、毎週どのくらい歩けたか、また歩けなかった場合にはその原因はなにがあったかのコーチングを行っています。

痛みがある場合にも医師と相談しながら少しずつ歩行距離を延ばすように指導を行っています。

一人で毎日歩くようにと医師にいわれても習慣的に歩行をすることは難しい場合が多いため、当院のスタッフがサポーターとなり、毎日患者さんが健康に安全に歩けるようにお手伝いをさせていただいています。

歩行は万病の予防に効果があることがわかっています。群馬県の中之条研究では10,000歩以上の毎日の歩行は多くの病気を予防することを示唆しており、日本国政府においても健康日本21の指標にて8.000歩以上の習慣的な歩行を推奨し、全国民が今よりも歩くことを目標に掲げています。

成人の目標・高齢者の目標はこちら(健康日本21)

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