ESWT

体外衝撃波療法

体外衝撃波療法とは?

体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。体外衝撃波療法は、主に骨折や腱炎、筋肉疲労、筋肉痛、腰痛、石灰化、肩関節周囲炎、膝関節炎、踵骨棘などの慢性的な症状の治療に使用されます。この治療法は、組織修復を促進するために、患部に微小な傷を与え、自然治癒力を高めます。また、炎症の緩和や血流の改善、痛みの軽減などの効果も期待されます。

体外衝撃波療法は、非侵襲的(身体に針などをささない)な治療法であり、手術や薬物治療の代替として米国においては広く使用されています。治療は通常、週に1〜2回から開始します。セッション数は症状の重症度や治療効果に応じて医師が決定します。

1回のセッションは3か月間となります。

針で刺したりメスで切らない治療ですので、傷跡などは一切残らず雑菌が入って感染することもありません。また,副作用の事例がほとんどない安全な治療方法になります

治療の過程で、通常は麻酔は必要ありませんが、治療中に痛みや違和感を感じることがあります。治療後、通常は痛みが軽減され、組織修復が促進されます。米国の足病医では多くのクリニックで採用されている治療機器になります。メジャーリーグやNBAの選手などもよく治療で活用されており、日本でもスポーツアスリートの世界では有名な治療機器になりつつあります。
日本では導入クリニックがスポーツ整形など限られており、米国と比べて医療機器も大変高額で保険治療で行えるのは難治性の足底腱膜炎のみとなります。

体外衝撃波療法を行う目的

足病は多くの場合で慢性炎症の状態となっています。慢性炎症(chronic inflammation)とは、慢性的な炎症反応が続く状態のことを指します。通常の炎症反応は、身体が外部からの刺激に対して防御反応として起こるものであり、短期的には正常な治癒反応として役立ちます。しかし、炎症反応が長期間にわたって続く場合、慢性炎症が発生し、様々な健康問題を引き起こす可能性があり、足病の場合もこの状態になっています。

そのため、慢性炎症を抑制し、血流と細胞組織を刺激することで治療を促すために体外衝撃波を用いた治療を行います。

体外衝撃波療法の作用機序・特徴

体外衝撃波療法がの作用機序は以下のとおりとなります。

1.炎症の抑制

体外衝撃波は、治療対象の部位に直接作用することで、局所的な炎症を抑制する効果があります。炎症は、多くの慢性疾患の原因の1つであり、体外衝撃波療法は、炎症を抑えることによって、痛みや不快感を軽減することができます。

2.血流の促進

体外衝撃波は、局所的な血流を促進することによって、組織の修復を促進します。組織の修復には血液が必須であり、この作用により、骨や軟骨などの組織の修復が促進され、治癒力が高められます。

3.組織の修復を促進する

体外衝撃波療法は、慢性的な疼痛や損傷した組織の修復を促進することができます。体外衝撃波は、細胞の新陳代謝を刺激し、治癒を促進する成長因子(サイトカイン)の放出を増やすことができます。

4.痛みの緩和

体外衝撃波は、神経組織に直接作用することによって、痛みの感覚を軽減することができます。治療を受ける患者は、通常、治療後に痛みの軽減を感じます。

5.侵襲性のない治療

針で刺したりメスで切らない治療ですので、傷跡などは一切残らず細菌が入って感染することもありません。また,副作用の事例がほとんどない安全な治療方法になります

対象となる方

保険診療の対象

・重症(難治性)の足底腱膜炎

足底腱膜炎(Plantar Fasciitis)は、足の底の筋膜に炎症が起こる病態であり、かかと付近に強い痛みを引き起こします。一般的には、足の負荷が増えたり、長時間の立ち仕事や運動、運動不足が原因で発生することが多いとされています。6か月以上痛みが改善しない場合、難治性の足底腱膜炎として診断されます。

保険外診療の対象

・骨折(特に疲労骨折)
偽関節や疲労骨折でも骨癒合を促進すると言われています。ただし、小児の場合は骨端線早期閉鎖のリスクがあるため、骨端線に対する治療はエネルギーを落とすなどの配慮が必要です。

・腱鞘炎

テニス肘や野球肘などの腱鞘炎に対しても有効です。注射と異なり、薬も不要であり、皮膚に傷をつけることもありません。

・筋肉疲労・筋肉痛・筋拘縮・筋緊張

体外衝撃波により、筋肉をほぐす効果もあります。筋肉の硬さに対しても効果があります。

・腰痛

腰痛の中にも様々な原因がありますが、筋原性の腰痛に対しては特に効果があります。筋肉の硬さや硬縮をとることによって腰痛が改善できる可能性があります。

・組織の石灰化(石灰沈着性腱板炎)

石灰沈着性腱炎はよく肩関節や股関節に起こります。体外衝撃波によって、炎症を緩和する効果があります、

・肩関節周囲炎

よく四十肩や五十肩などといわれますが、それらは正式な病名としては肩関節周囲炎と言われます。肩関節周囲炎に対しても炎症を抑え、筋肉の硬さをとるために体外衝撃波は有効です。

・膝関節炎

膝関節炎の原因として変形性膝関節症がありますが、骨挫傷などの骨の炎症がある場合や内側側副靱帯や外側側副靭帯などの炎症がある場合に体外衝撃波は有効です。

・踵骨棘

踵の骨棘によって足底腱膜炎がある場合、体外衝撃波は非常に有効です。踵の骨棘は足底腱膜によって引っ張られた結果であり、骨棘自体は足底腱膜炎の原因ではありません。6ヶ月以上の痛みがある難治性の足底腱膜炎は体外衝撃波が保険適用となります。

体外衝撃波療法の流れ

保険診療の場合

1.保険診療の初診を予約ください
2.重症(難治性)の足底筋膜炎と診断された場合に、治療方法として医師より治療計画として提案される場合があります。衝撃波治療のセッションは3か月となり、回数については症状に応じて医師が指定します。

衝撃波治療の保険点数は以下の通りです。
※保険種別の負担割合に応じた支払いとなります

体外衝撃波疼痛治療術(一連につき) 3割負担 15,000円  

※適用出ない場合は、自費診療による衝撃波外来をご案内する場合があります

3.保険診療の衝撃波外来を予約ください
毎回の支払いは初回支払いの後は、原則再診料のみとなります。

※セッション終了後は3か月以上経過した後に再度実施することができます

自費診療の場合

1.自費診療の衝撃波外来初診をご予約ください。

対象部位のレントゲン検査、エコー検査そのほか身体所見検査 などを実施の上、適応となるかを診断いたします。(検査内容は症状によって異なります)または、遠隔相談によるカウンセリングをご予約ください。遠隔相談では診断ができませんが、自費診療の適応になるかを事前に自宅から相談することができます。

→遠隔診療・相談についてはこちら
※相談の結果衝撃波外来 初診にお越しいただく場合もあります。

2.自費診療の衝撃波外来をご予約ください

自費衝撃波治療費用 初回:1万円(税別)

2回目以降:    5,000円(税別)

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